看護師の社会的地位
今週はよく働いたので、
週末はビール片手に家事と読書しています。
週後半は、日本出張の疲れが出て、
体力的にひさびさにキツかったです。
日本滞在時には大学生や大学院生と
看護の未来を議論する時間があり
若手の気持ちを確認する良い機会になりました。
やはり、賢い人ほど時代に敏感で
今の看護の先を見据えてしまうので、
「看護の世界でヤル気を削がれた。」
という言われることが多かったです。
「看護なんて、どうせ将来変わらないでしょ」
「年功序列の給料、昭和のままの看護協会」
「看護管理はパワハラばかりでブラック」
まったくそのとおりです。
自分もよくそう思っていたし、
今でも同じ無力感を感じることもあります。
だけど、それでも自分は
「システムに挑戦すること、
システムを変えることを絶対に諦めてはいけない」
と強く思うのです。
それは、ただ単に
この理不尽なシステムを
後輩たちには押し付けたくないからです。
この理不尽なシステムを
自分たちの世代で止めないと
また多く人が苦しみ、失望していくからです。
もう犠牲者は見たくありません。
今回議論したいのは、
看護システム、または医療システムを
どうやって変えいくべきかという方法論です。
1) 具体的なプランを考える
ぼくは、
「看護師の社会的地位が低いから
看護師の社会的地位を上げたいです!」
と言われても、全く同意できません。
どうしてかというと、あまりに抽象的だからです。
「社会的地位」と言われても、曖昧かつ主観的です。
具体的な問題点と具体的なプランが
まったく言及されていないので、
なにせ建設的な議論ができません。
従って、何を根拠に社会的地位が低いと思うのか、
# 医師に比べて、給料が低すぎるのか?
# 看護師が行える裁量権が少なすぎるのか?
# 市民から看護師が尊敬されていないのか?
具体的なデータと論理で示すべきです。
また、その問題を解決することが、
自分自身や看護師の利益のためではなくて、
社会全体の利益になることを提示することです。
麻酔看護師で具体的な例を考えてみましょうか。
まずは、データと論理で具体的な問題点を指摘します。
「日本のある地方にあるA県では、
人口10万人当たりの麻酔科医数が
日本の平均と比べて20%不足しており、
そのために年間600件の手術が待機となっている。
また、都市部から麻酔科を派遣するために、
手術1件あたりの麻酔科医のコストが30万円超となり、
病院経営を圧迫しており、早急な改善が必要である。」
次に、具体的な解決方法とプランを示します。
「従って、年間600件の手術待機をなくし、
また麻酔コストも1件あたり10万円削減するために
麻酔看護師の導入が最も適切な解決策だと考えます。
医師と同じ6年の教育年数であり、
日本でも複数の病院で導入されており、
2年間の臨床研修も含めると最短4年間で、
この問題を解決することが可能となります。
麻酔看護師の安全性は科学的にも証明されており、
日本における研究も待っている状態です。
安全性のためにも近くの麻酔科医に
すぐに連絡とれる遠隔医療体制を導入すれば、
効率面、コスト面、安全面を両立できるプランです。」
後半は、社会的な意義と
具体的なタイムラインや行動方法を提示しています。
誰も反対できない論理にもっていくことが重要です。
なので、ただ看護を変えたいと言うではなく、
「データと論理にて具体的な問題点を指摘し、
社会的意義の大きい具体的で実行可能なプランを示す」
ことが、今の看護を変える第一歩となります。
他人を説得できる内容を提示していきましょう。
2) 民主主義か資本主義か
学生には幾度となくいっていますが、
今の日本では、システムを変える方法は2つ、
「民主主義」か「資本主義」しかないのです。
つまり、看護を変えようと思うなら、
どちらかのアプローチを選択するしかないのです。
民主主義は、合意形成に時間がかかりますが、
変わる時にはトップダウンで一気に変わります。
国会にて50%以上の議員の同意を得られれば、
日本の看護や医療は、とてつもなく変わるはずです。
看護は、もともと政治下手なので、
もっと政治力をつけて、票数で様々な交渉をすべきです。
ただ、ぼくは民主主義があまり好きではありません。
なぜなら、法律を変えれば、一気に理想に近づけますが、
過半数の同意を得るには、おそらく10年はかかるからです。
さらに、多くの人と交渉するので、妥協する必要があります。
看護と政治は非常に大切だとは思いますが、
自分は、スピード感のなさと八方美人感が大嫌いです。
ただ、多くの若手看護師に言いたいのは、
看護を変えたいと思うなら、政治家や官僚になりなさい。
それが一番大きく、日本を変える方法です。
ぼくは、民主主義の遅さが大嫌いなので、
資本主義を使って日本の看護を変えるために
自分自身で会社をやってビジネスしています。
資本主義は、0.1%でも市民の同意が得られて、
お金のサイクルがまわるなら、どんどん急激に
スピード感をもって世の中を変えることができます。
そして何より、実力主義です。
ある程度の同意が得られる限り、
妥協なく自分のやりたいように世界を変えれます。
うまくいけば、たった5年で
世の中の多くを変えることができます。
iphoneが一番いい具体例になると思います。
ぼくの会社はクローズドなので、
自分が一緒にビジネスしたいと思う
本当に信頼できる人としか仕事しません。
だけど、それでお金がまわっているので、
岡田は多くのプロジェクトをまわして、
自分の変えたい方向に世の中を変えていけるし、
また自分の好きなようにお金も配分できます。
去年も会社の利益の一部を
アイヌ協会に寄付しました。
それは自分が正しいと思っている
お金の流れを作りたいからです。
ビジネスと社会的正義を両立するのが、
自分の考える理想の資本主義です。
だから、看護を変えたいと思うなら、
もうひとつ、起業という選択肢も考えてみて下さい。
看護師という免許を捨てた時、
世の中にどう貢献できるのか。
つらくもあり、またおもしろい問いです。
いずれにしろ、看護や医療を変えたいのなら、
民主主義から変えるのか、資本主義から変えるのか
アプローチを戦略的に選んでみて下さい。
そして、日経新聞を読むなり、政治の本を読むなり、
看護や医療の勉強をする前に、社会の勉強をして下さい。
今の日本における最も大きなルールは、
「民主主義」と「資本主義」なのですから。
ちなみに、自分も起業でさんざん苦労しましたが、
この経験は何にも変え難く、相当成長できました。
若手には、もっと起業をしてほしいと思っています。
リスクをとってまで、世の中を変える覚悟が必要です。
やらないで後悔するより、やってから後悔すべきです。
失敗したっていいじゃない、次はもっとうまくできるはずだから。
3) アクション、アクション、アクション
ぼくは行動しない人は信じません。
変えようと行動してしない人には、
まったくもってFeelできません。
その分、自分の未来を切り開こうと
苦しみつつサバイバルしている人には
最大限のリスペクトを送ります。
今の看護や医療に批判があるのなら、
ただ文句を言うのではなくて、
実際にプランを立てて、行動すべきです。
ひたすらに行動あるのみです。
もちろん、戦略は必要ですが。
アイヌの会議でも話したのですが、
「いつまでも差別されている」
という議論ばかりでは何も変わりません。
その先にある
「じゃあ、それを変える方法は何なのか。
明日からの具体的な行動はどうするのか。」
とソリッドな方法論を議論することが不可欠です。
同じように、今までの看護は文句ばかりで
何も建設的な議論をしてこなかったように思います。
「看護師の社会的地位が低い!」
じゃ、変えるために、具体的にどう行動するの?
「病棟の人間関係が悪い」
じゃ、変えるために、具体的にどう行動するの?
そんな建設的な議論が必要です。
ぼくは思うのです。
看護システムが変わらなかったのではなく、
看護システムを変えることができなかった。
それは、具体的な議論やプランがなく、
民主主義や資本主義を使う戦略もなく
ましては、文句ばかりで行動してこなかった。
それが原因だと思います。
だから、ぼくは非常に楽観的です。
データと論理で議論とプランを示し、
民主主義と資本主義の両方をうまく使い
どんどん具体的な行動にしていけば、
絶対にシステムは変わるはずです。
ぼくたちが
システムを変える方法論を
知らなかっただけなのです。
ということで、
今回は自分への戒めも込めて、
看護システム、医療システムを
現実的に変える方法を議論してみました。
ぼく自身、ずっと
この議論に悩んで来ました。
みんな「何も変わらないよ」
と次々に諦めていきました。
賢い人ほど、早めに見切っていきました。
ぼくはあまりにもバカだったので、
誰にも洗脳されることなく、
また世間の常識に執われることなく
自分の道を信じて、ここまで進んで来ました。
そして、今確信をもって言えます。
日本の看護システムや医療システムは必ず変わると。
もちろん、世間に反して生きてきたので、
他の人には想像もできないくらいの
辛いことなんて、たくさんありました。
だけど、ずっと看護の未来を信じているし、
今でもまだ看護の未来を信じ続けています。
そして、ここ数年、
少しづつ自分の実力もつき、
世界を変えたという実績も出て来て、
やっと日本の看護や医療を変えることができる
という自信が確信に変わり始めました。
だから、
今の日本の看護や医療に失望しないで下さい。
嫌になったら、看護師なんて
いつ辞めてもいいんです。
そして、また看護師に戻りたくなったら、
いつでも戻ってもいいんです。
他人になんて言われようと関係ありません。
自分の好きなように生きればいいのです。
その時までには、
あなたがコミットできる
日本の看護や医療に変えているはずなので、
ぜひ安心して戻ってきて下さい。
もちろん、みなさんの協力が不可欠です。
一緒に「具体的に」行動していきましょう。