中東医療
引き続き、
世界の最新の医療状況をお伝えします。
今回は、あまり馴染みのない
「中東医療」を
取り上げてみたいと思います。
「中東(Middle East)」は
日本では「西アジア」や「中近東」と呼ばれ、
アラブの石油王や危ない地域?として有名ですが、
それはごく一部の国だけの話になります。
アラブ人は、
「非欧米人」としての概念が強く、
唯一の白人以外の先進国である
「日本」に非常に強い好感を
持ってくれています。
最近では、
ドバイやアブダヒなど7人の首長が作る
観光が行く人が増え、
その発展ぶりと飛行機の良さには驚く人が多いですね。
イスラムが生活の中心なので、
人々は非常に礼儀正しく
街はアラビアンで
人間と文化的には一番好きな地域で、
年間を通して最も行く地域になります。
成田から飛行機では10時間くらいで到着できます。
派手なドバイ(DUBAI)が有名ですが、
そこは金融と観光、貿易の拠点であり、
中東の政治や医療の中心は、
カタール(QATAR)の首都ドーハ(DOHA)であり、
有名なアルジャジーラTVなどがあります。
自分自身もドーハを拠点としています。
もちろん、
生活や医療においても
「イスラム」が中心となります。
まず、
アルコールは超厳密に禁止で、
外人が街でアルコール買うのにも許可がいります。
外資系のホテルが例外で、
ホテルのバーやクラブでは飲む事が可能で、
夜は外人で大繁盛しています。
食事の材料も「ハラール」という
イスラム教の手順で調理・加工されたもの
を使ってしか料理できないので、
厳密な人からは、
経管栄養の成分などもいろいろと質問されます。
9月のラマダンとなると
日が昇っている間は病院職員といえども
水やご飯が禁止となります。
もちろん、患者さんは例外で、
しっかりと栄養と水分管理しますが、
摂取を嫌がる人も多く、
文化を尊重した医療が最も大切となります。
ラマダンは
外人であるYUITOにも適応され、
会議や指導していてもご飯は出ずに、
だけど水飲めないのはしんどいので、
こっそりトイレで水を飲むのは
許してもらっています(笑)。
もちろん、
入院中も患者さんは1日5回、
絨毯をひいて膝まずいて、
お祈りするし、
院内にモスクや家族用のお祈り場所もあり、
その光景を見ていると心洗われ、
人間として本当に大切なことを
学ぶことが多いです。
医療としては、
病院設備自体は日本と変わらずに、
現在は人材やシステムの質を
向上させるソフト発展の段階であり、
歴史やしがらみがなく、かなりリベラルな風土から
EVIDENCEの話をしたら、
「そっか。」とすんなり実行してくれることが多く、
まだまだ発展途上なので、
学ぶ意識が非常に強いです。
中東マネーがあるので、
EVIDENCEのそろったことを
政策として実行するのも
かなりスピーディーで、
このままだと
日本はいずれ抜かれてしまうでしょう。
今は個人的には、
ICUの質の向上や看護教育の質の向上などに
焦点を当ててビジネスしています。
一概に「イスラム」といいますが、
実は、イスラムの中でも細かく分かれており、
それぞれ風習やシステムが違います。
上記はリベラルなイスラム地域の話であり、
僻地やイスラム原理主義の支配地域では
まったく事情が異なります。
相当に危ない地域もあるので、
護衛を雇い、ランクルに物資を積んで
ひげを長くして、格好もイスラム風にして、
族長にその地域のやり方で忠誠を誓った後に、
病院やフィールド観察に行きます。
厳密なところでは、病院自体が男女別であったり、
自宅から出れない女性が多かったり、
イスラムの民間療法が行われていたりと、
様々な深刻な状況も見受けられます。
ただ、彼らの文化なので、
無理に介入することはせず、
かれらを尊重しつつ助言するという立場に
長期的な視点で関わっています。
もちろん、
高度なリスク管理をしつつも
襲われた事は何度もあり、
「なんのために医療を行うのか。」
という自分の根底にある強い使命が
常に問われることとなります。
よくJICAや学会で
「なんでそんな危ないところに行くんだ。」と
おしかりと受けますが、なんとも温室的な意見です。
それは全く逆で、
「本当の意味で弱い立場の人は、
常に危険にさらされているし、
その人たちに質の良い医療を提供するために、
危険な土地であるからこそ身を張って進んで行く」
という信念があるから
行動として、そうしているのです。
やはり、
こういう場所で人を救うには、
強い使命が必要だし、
何あっても自分を支える信念が
世界を変えていくのだと信じています。
中東医療のイメージを
少し更新できたでしょうか?
文化を考慮して、
医療の倫理調整をしていくスキルは、
グローバル化していく世界の中で、
必須のスキルであるし、
何より異文化と関わることで、
自分の視点や思考が広がり、
成長できることは素晴らしいですね。
その相手の文化を体感して、
その魅力を感じれるのが
「中東」だと思っています。
次の旅行、
ドバイとアブダヒはいかがでしょうか?
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