NEW NURSING

ハワイの疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

急性・重症患者専門看護師2

前回に引き続き、

急性・重症患者専門看護師(CCNS)へ

のインタビュー記事です。

 

個人的なブログでしか書けない

このニュアンスを楽しんで下さい。

 

前回までは、

「キャリアと大学院進学の話」でした。

 

今回は、

「CNSの役割と次のキャリア」です。

 

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Y)そのプライドを捨てるっていうことは

事を成し遂げた人にしか言えないことだよね。

自分に余裕があるから、逆にプライド捨てて、

成し遂げるべき目的のために、へりくだれる。

 

D)っていいながらも、

自分もCCNSとしては1度、

大きな大失敗はしているんだよね(苦笑)

 

理由は色々あったと思うけど、

でもそこで一番の原因は、

『自分も含め、いろいろ「プライド」を持ちすぎていたこと。』

 

つまり、どうでもいいことの対立ね。

 

それでね、この教訓からCNSバッジは、

いつでもはずしてもいいと思うようになったね。

 

専門職として、

このCNSバッチには誇りを持っているけど、

役割の遂行上に、少しでも慢心さや甘えが生じたら、

または、周りと歩調を保てない、

よくわかんないプライドが見え隠れしたら、

もうその時点で、バッチなんて飾りでしかないからさ。

 

だから、そんな自分になった時は、

いつでも外すべきって、

自分を律している、ってこと。

 

つけるなら、恥じない実践、役割を果たし、

甘えるなって思っているんだよね。

 

これはライフワークバランスを犠牲にするとか、

息抜きや遊びをするなって話ではなく。

 

CNSである自分を考えた時にね。

でもこれは持論ね。

 

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Y)MADD!!!

若い世代や専門看護師を目指す人に伝えたいことは?

 

D)小生がこんな偉そうに

言っちゃっていいのか、わからないけど。

 

でも、このライセンスを取ったら、

すぐに***ができるようになる、

なんて、まずありえないですからね。

 

よく言っている人を聞きますけど(笑)

 

名称独占も、業務独占も、なんもないですから。

 

一番大事なことって、

認定看護師とか専門看護師とかっていう名称、

ライセンスだけではなくて、

「自分が何を成し遂げたいか」

「あるいは成し遂げれるか?」

ということを考えられているか

が一番大切でしょ。

 

それは、そんな大きなものじゃなくて良くて、

「マジで理想の看護をしたいんだ!!」

っていう情熱とか、

「絶対正しいことを正しいと言える人になりたい!」

「そのためにキャリアを積みたいんだ!」

っていう野望とか、

自分の芯をしっかり持っていることで十分。

 

もっと明瞭化した目的意識があれば、

合理的に勉強も進められるから

その方がいいとも思うけどね。

 

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でも、芯をしっかり持っていれさえいれば大丈夫。

目的はすぐにわかるし、見つけられて具現化できる。

 

そのプロセス(キャリア開発の通過点として)に

自分にとっては、専門看護師のライセンスがあったわけで、

自己内省とキャリア開発の本質を理解できたかな。

 

そして、自分の姿勢や行動で

患者のより良いアウトカムを構築するには

マクロな視点で捉え、

それを具体的に理解して解決策を見出し、

愚直に向き合っていけば

良くなる方向性は見出せるわけで。

 

つまり、

自分自身のキャリアを見出すことも、

CNSになった後の役割や行動も同じで、

受け身では、なんにも生まれなくて、

マクロに捉えて、ミクロに自分で行動すること。

 

だから、これからの世代には

自分が実際に何をしたいのかという

認定看護師や専門看護師の先にあるものに

目を向けて、本気でキャリアを考えてほしいよね。

 

資格は通過点、

スタートラインでしかないってことね。

 

別にライセンスばかりに

目を捉われなくてもいいってコトも言いたい。

 

最高のジェネラリストを目指したっていいと思う。

ライフワークバランスもそれぞれあるだろうしね。

 

でも、どんなプロセスでもいいけど、

その中で最善の「努力」をしている

または、努力した自分の存在が重要だね。

 

そこからしか見えないものがある。

 

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Y)ちょっと感動した。意外とね(笑)

ここまで、キャリアについて語ってもらったわけだけど、

専門看護師の役割について、わかりやすく説明して。

特に認定看護師と何が違うのかを。

 

D)Yuitoも習ったとおり(笑)

CNSには6つの役割があるわけ。

実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究ね。

 

CNSって、研究ばっかってイメージあるよね。

でも、そうじゃなくて、

根底には直接的実践があることは知っててほしい。

 

ただ、簡単にいうと、

常に「影武者」「黒子」って感じ。

 

要するにね、

物事をマクロ(大きな)視点で捉えて、

システム全体の変化を起こしながら

患者のアウトカムを良くする役割なんだね。

 

認定看護師は、もっとベッドサイドでって感じかな。

 

CNSは、グッドプラクティスを形成しながら、

ケアの内容や質を変えていく提案もしていくし、

そのためには、看護チームや医療チーム全体を大切にして、

指導ではなくて教育で、管理とも「協働」して、

補完しつつシステム全体を変えていくイメージだね。

 

特に、アウトカムを構築する上では、

合理的解釈ができる範囲は違うように感じるね。

 

学修してきた量や、持ち合わせる理論数、

自己内省をする期間(=教育期間)が違うことがその理由。

  

「ケアマネジメント」について、

「マクロな視点」と「システム思考」が

ある人っていう感じかな。

 

それが、実践家かつ「黒子」でもある意味。

 

これは自分のキャリアの中で学べている範囲であって、

CNSの先輩はもっと具体的に表現できると思うんだよね。

 

まだまだ修行の身なので、一意見、一考察ということで。

 

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Y)専門看護師をどう使うか、管理側も試行錯誤だよね。

 

自分の施設ではアドバンスのキャリアラダーとしては、

# スペシャリスト(専門看護師や認定看護師)

# マネジメント(病棟師長や看護部長)

# ジェネラリスト(現場の熟練した看護師)

の3つに大別しているんだよね。

 

これってすごく

システムとしてはいいなって思っているよ。

 

看護チームの総和がより最大になるように、

個々のキャリアビジョンを明確にしようとする動き。

 

でも、問題というか、大事だなって日々思うことは、

自分のラダーの役割と、その他のラダーの役割を

お互いに深く知り合えているかってこと。

 

「管理にうまく使ってもらえない」

とかよく訴える人がいるじゃん。

 

それ言う前に、

自分から問題の本質を突き止めて

批判じゃなく、改善の提案をするとか、

病院や管理に使ってもらえる人材に自己修正するとか、

まずそれが大事だよね。

 

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ただ、スタッフ機能のCNSの経験を踏まえると、

スペシャリストをうまく使えるマネジメントも必要だと思う。

 

看護管理者もいろいろいて、 

最良を考えるためには、

イノベーションは一切不要なんですかって、

ルーティン業務で十分ですかって、

率直に質問したくなる時もあって(小声)

 

なので、CNSの立場で、

あるいはその経験を活かして、

「マネジメント」「看護管理」を

イチから原理原則も含めて、改めて勉強して、

両方を統合できる人材になるのが、次の目標かな。

 

「組織がこうだから、できない」

「できない」ばかりじゃ、何にも変わらないからね。

 

なら、アクションをしろって思うし、

誰もしていないなら、自分がすればいいだけの話。

 

理想の組織にしていく、

あるいは作っていく、っていう意気込みで。

 

大きい組織なんで、時間も労力もかかるとは思うけど、

これ諦めたら、即バッチ外します(笑)

 

アドバンスのキャリアラダーで分かれている

スペシャリストとマネジメントが

オーバーラップすることも必要でしょ。

 

細分化しすぎて、

縦割り産業になったら、灯台下暗し。

 

知ったかぶりは禁物だと思うし、

なら今の倍勉強すべきだ、と思うし。

 

常に自分のつけているバッチの領域だけに

捉われた実践だけにはしたくないかな。

 

あと経験値だけの解釈も避けたいかな。

 

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Y)自分をまたゼロに戻そうとすることもすごいよね。

それはRESPECTだわ。CNSの給料は?

 

D)医師や事務などの他の専門職もいるので、

CNSに特化した給料はなくて、

役職と給料で合わせている感じかな。

 

自分の施設は

まだ革新的な働きやすい病院だと思うけど、

正直、あまり給料が変わらないが現状です。

 

でも大事なことって、

権利主張より、義務を果たし、

後世に引き継げる道を開拓しつつ、

成果を出して初めて、

その対価ってついてくるもんじゃないかな?

 

看護は混沌としすぎることも多いけど、

その分、イノベーションの機会も

同じくらいたくさんあるって思っている。

 

中には、しがらみで多くてCNSとして

なかなか活動できない病院も多いらしいし。

 

自分はチームに

理解あるパートナーが沢山いるので嬉しいです。

 

だから、

余計に愚直に頑張れって話に自分を向けられているね。

 

でも、たまに

「宝くじでもあたらないかな」

とか思っちゃうから、それが人間だね(笑)

 

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Y)なるほどね。

ひさびさに真面目に話したら、勉強になったわ(笑)

最後にひとこと。

 

D)最近、筋トレが、勉強と同じ構造だと考えているんだよね。

継続は力なりってところが。まじで。

努力しなきゃそこで終わり。重さは上がらないし、

筋肉は付いていかない。

つまり、努力するもしないのも、常に自分次第。

わかりやすい例えでしょう???

 

Y)???でたー。

そういうのまとめがDらしくて、いいね(笑)

サンキュー、ありがとねん。

 

インタビュー終了

 

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<Dのコメント>

長々と色々と話してしまったけど、

次世代の皆さんに一番言いたいことは、

「努力次第で未来はいかようにも変えられる」

ということです。

 

そのチャンスは、誰にでも平等にあります。

 

過去の出来事ばかりに捉われるのではなく、

失敗してもいいから、

一歩踏み出してみてはどうでしょうか。

きっと、いいゴールがあるはずです。

 

ただ、それにはちょっとだけ、

努力という痛み、犠牲も必要です。

 

あとは筋トレのように「気合い」が必要でしょう(笑)

 

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それと、次世代だけではなく、

現世代の私たちも

よく議論をしなければいけません。

 

私たち「先輩」にあたる人は、

現在の医療背景を捉えながら、

自分に不足する能力部分の継続学習を重ね、

良き実践をパフォーマスできているでしょうか?

 

次世代の問題だけではなく、

現世代が実践を通じてロールモデルを示す、

「看護を見える化できる実践をしていくこと」

が重要だと感じています。

 

「今の子はさあー」の、

「今の子」の「今」は、

私たちが作っている教育システムの鏡です。

 

これから先、

特に日本の医療現場は超高齢社会を迎え、

より複雑な側面を経験することになると思います。

 

私たちが、きちんとしたキャリアを提示し、

次世代がそのロールモデルを見て、

迫り来る複雑さに対応できるキャリアを

しっかりと考えられる時代を作りたいと思っています。

 

看護師のキャリアも

患者のアウトカムも

手遅れになってしまう前に。

 

※写真はすべてDのもので掲載許可済みです。

質問があれば、コメント欄やYuitoのメールまでお願いします。

間接的に、今回のCNSに回答をもらうカタチになります。

 

また、いろんな人にインタビューしていきます。

我ながら最高に良い企画で、「神回」になりました。

 

やほーい。

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