NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

看護師の評価と給料

先週は、日本と香港で仕事でした。

一緒にご飯してくれた後輩ありがとう!

 

ハワイも冬になり(いちおう)

海がとても綺麗な時期になっています。

 

関空からLCCで往復4万円で来れます。

人生に疲れたら、ハワイでチャージして下さいね。

 

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今回は「お金=給料」の話です。

 

看護師の給料は

なぜあがらないのでしょうか?

 

それは、人事評価システムが

いまだに年功序列を基準として

成果を評価していないからです。

 

手術室では心外のオペに入れる人材が

心外のオペにつけない人材と同じ給料です。

 

それは公平でないので、

若手が嫌になるのも理解できます。

 

看護の人事評価は、完全に終わっています。

 

あえて、もう一度、言いますね。

看護の人事評価は、「完全に」終わっています。

 

終わっているというか、始まってすらいない(笑)

もはや人事評価の意味をなしていないのです。

 

だって、いくら努力しても

努力していない人と同じ給料でしょ?

 

大学院修了しても給料変わらないんでしょ?

 

完全に「ナシ」ですね。

 

そりゃ、理不尽かつ不公平だし

ヤル気なくなる気持ちもわかります。

 

完全にマネジメントの欠如です。

このシステムはいつまで続くのかな?

 

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自分はそもそも研究志望でしたが、

沖縄の離島で自由に教育されたおかげで

看護師やってもいいなーと思っていました。

 

ただ、大学3年生の時に

いろいろなデータを見ていくなかで

看護師の給料が不公平なことに気づき、

臨床は数年で辞めようと決意しました。

 

英語だと、"Unfair(不公平)"で

かなり強い意味での拒否感になります。

 

看護師の20代における給料は

一般企業に比べれば悪くない年収ですが、

女性の年収システムが残っており、

その先は上がらないことで有名です。

 

しかも完全な年功序列

いくら努力しても給料があがらない。

 

完全に、意味不明だし

だれも努力しなくなるシステムです。

 

残念ながら、医師も含めて、

他の医療者も同じシステムなのです。

 

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では、どういう能力評価が良いのか

海外における人事評価の実際をお伝えします。
 

1) 新卒の時点で、年収が100万円以上も異なる。 

 

医療には「競争」が必要です。

 

命を預かる仕事だからこそ

公正な競争によって

成果をあげる人を評価すべきです。

 

ぼくらの好き嫌いに関わらず

医療者は「競争」によって

公平に評価されるべきなのです。

 

医療の質の向上の前には、

「競争が嫌い」という

日本人の論理は通用しません。

 

質の高い医療を提供した人が

質の低い医療を提供した人よりも

良い給料と大きな権限をもらうべきです。

 

もちろん過度の競争は必要なく

「公平な」競争と評価が不可欠です。

 

アメリカでは看護師免許を取ることと

看護師として就職できることは全く別です。

 

優秀なハワイ大学の学生でも

毎年70%くらいの学生しか

希望する病院に就職できません。

 

成果を残せる人の給料は良いし、

成果を残せないと次の年はありません。

 

だから、大学時代の成果で、人により

初年度の年棒オファーで100万は異なります。

 

例えば、学校の成績(GPA)が良い

看護国家試験の点数(NCLEX)が良い

成人看護で人工呼吸器をマスターした

看護と同時に他の学位をダブルでとった

岡田の疫学部でインターンをした(笑)

などが、そのまま就職と年収に反映されます。

 

学生時代に頑張った人が報われる

とても良いシステムだと思います。

 

医師の場合は、さらに競争的で

学生の時の成果で、臨床研修先や

将来進む診療科がほぼ決まります。

 

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2) 個人の能力を数値化して、評価している。

 

統計家として、医師や看護師の能力を

細かく数値化して毎月、評価しています。

 

統計家を使った、個人の能力評価です。

日本人からしたら、恐ろしいですよね(笑)

 

たとえば、救急看護師なら

心電図を取って、医師に見せるまでの時間

1時間あたりに診ている救急患者の数

ヒヤリハットや転倒・転落の件数など

すべて個人の成績として数値で示しています。

 

もちろん、重症度によって統計的に補正するし、

本人にも、その成績をフィードバックしています。

 

病棟のプライマリー看護師は

退院後の満足度アンケートで85点以上

受け持ち患者の2週間以内の再入院率 

他のスタッフからの360°評価

などで、給料が変動していきます。

 

下手な話、人の2倍成果を出したら、

人の2倍、給料をもらえるシステムです。

 

看護師としてもヤル気がでるし

ケアの質が絶えず向上するので

患者さんにとっても理想的なシステムです。

 

ぼくらは、

"Pay for Outcome"

(患者の結果に対する支払い)

 と読んでいます。

 

みな本気で退院指導をがんばっています(笑)

かなりインパクトあるからねー。

 

ここで、とても良いのは、

何で測定して評価するのかが

すべてオープンになっていることです。

 

就職した時点で、この指標で能力を測定して、

この値で給料を計算しますと明確に伝えます。

 

もちろん、数値でダメ出しをするのでなくて、

その個人指標を改善する方法を本人と一緒に考えます。

 

自分の成長のために、数値をモニタリングします。

 

がんばった成果が、個人の数値に反映されて

同時に給料にも表れたら、サイコーですよね。

 

個人能力を数値で評価して、給料に反映すべきです。

 

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3) 給料と数値の先にある、成長と知的満足も提供する。

 

アメリカのすごいところは、

成果をあげれば、自動的にチャンスが来ます。

 

いわゆる「リーダーシップ」というものです。

結果を出した人に、優先的に資源を投入していきます。

 

それが、最も効率が良い投資だと思います。

 

たとえば、NP(病棟管理)も臨床研修があり

その年で一番良い人材が「シニア」と呼ばれます。

 

すると、その「シニアNP」は、次の3ヶ月間

ひたすら優先的に、入院を取りまくります。

 

できる人材に、優先的に

さらなる成長の機会を与えていくのです。

 

とても忙しいですが、これは光栄なことで

さらなる成長のチャンスが到来したことになります。

 

「みな同じように成長する」という幻想は捨て

「個人によって能力が異なる」という前提で、

成果を出した人材に大きな仕事を任せていくのです。

 

年齢、性別、学齢、人種、宗教、臨床年数など

全く関係なく、成果のみで公平に評価されます。

 

「お金=年収」は「必要条件」と呼ばれ、

従業員のモチベーション向上に必要な条件だけど

それだけで満足する「十分な条件」ではありません。

 

給料と同時に、成果を出した人材に

優先的に成長できる機会を与えることも大切です。

 

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経営者として「人事・評価」は、

本当に大切なマネジメントになります。

 

臨床経験が長いだけで、成果をあげない人に、

高い給料を払うのは「ただの無駄」です。

 

その分を、成果をあげた人に分配して

モチベーションをドライブすべきだと思います。

 

人事評価は、以下の3冊が秀逸です。

世界基準の人事戦略が理解できます。

 

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

 

人事こそ最強の経営戦略

人事こそ最強の経営戦略

 

 

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

 

日本の看護師も年棒制にして、

その年の成果で、次の年収を決めるべきです。

 

もちろん、降格もして新陳代謝していきます。

 

もう平等な評価は、終わりにしましょう。

 

「看護師がみな同じような成果をあげる」

「看護師がみな同じように成長する」

 

それは、「幻想」です。

理想であるけど、現実ではありません。

 

次の数年は、看護管理の改革に

挑んでいこうと思っています。

 

成果を出した人が評価されて

給料と権限として評価される

当たり前のシステムを作ります。

 

でないと良い人材が看護に残らないし

なにせ若手のヤル気が到底あがりません。

 

みなさんの違和感は、正しいです。

一緒に、改革していきましょう。

 

以上が最近に多くの質問を頂いた

「看護師の評価と給料」でした。

 

ちなみに、自分は上司たち(CEO含む)の

 

「昼休みに楽しそうにサーフィンしてる」

「日本で忙しそうに会社をがんばっている」

「音楽かけて、いつもノリノリで仕事してる」

「ひさびさに純粋な若手疫学者がきた」

 

という評価で、夏に給料あがりました(笑)

さらに、オバマ財団のフェローになりました(笑)

 

さすが、ハワイ!

成果が全く関係ない評価だけどね!

 

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