NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

看護教育3

忙しすぎて更新が少し遅れました。

 

日本は今、北朝鮮や政治の迷走で

かなり不安定化していると聞いています。

 

果たして50年後に

日本は存在しているのでしょうか?

 

政治も、教育も、管理も

なぜ市民や現場と解離していくのが不思議です。

 

おそらく個人ではなく、システムが原因で、

適切にアップデートできていないからでしょう。

 

今回は、看護教育における

「システム・アップデート」

について提案していきたいと思います。

 

スマホのアプリひとつで

ハワイと映像会議できる時代に

看護学生は、白い靴下をはいて実習に行きなさい。」

と昭和のシステムで教育しています。

 

もはや今の時代、ひとまわりして

「白い靴下」が逆にオシャレです(笑)

 

今回は、臨床教育にも比重を移していきます。

 

  • 横並びの看護教育はもうやめなさい
  • 看護技術の全国共通認定制度を始めなさい
  • 臨床研修は地域の研修センターでやりなさい

 

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  • 横並びの看護教育はもうやめなさい

 

まずは、最も根源的な内容から議論しましょう。

 

「個人の能力には明確な差があり、

 その差を前提とした教育システムに革新すべきです。」

 

昭和の看護教育において、

「看護婦」になる集団は、非常に均一的でした。

 

「高卒の従順な中流女性」

という、同じような能力と姿勢の集団に対して、

「誰もが同じスピードで成長する」

という前提で、画一的な看護教育を構築しました。

 

当時の看護婦不足を解決するには、

最も効率的な教育システムだったと思います。

 

いわゆる、昭和における

「自動車などの量産モデル」と同じ考えです。

 

ここでは、男性や社会人、シングルマザーが

入学してくることは前提としておらず、

多様性に対する弾力性がないシステムとなっています。

 

つまり、今の看護教育は基本的に、

看護学生の能力は、ほぼ同じである」

という前提のもと、デザインされているのです。

 

そして、臨床研修も同じように

「看護師の能力と成長速度は、みな同じである」

という前提のもと稼働しています。

 

看護師としての能力も臨床経験年数のみで判断され、

キャリアパスまで臨床年数で決定されてしまいます。

 

これが「横並びの看護教育」です。

 

「昭和の世界文化遺産」として

国連に申請したいくらいです(笑)

 

ただ、時代は大きく大きく変わり、

看護教育も大学化・大学院化され、

男性や社会人、シングルマザーも多く

看護学生として入学するのようになりました。

 

つまり、

看護学生の能力や背景は、ほぼ同じである」

という前提が崩れ、

看護学生の能力や背景は、非常にばらつきがある」

という現実になっており、

特にライフスタイルはかなり多様化しました。

 

またインターネットの拡大によって

情報へのアクセスがスムーズかつ無料になり、

近年では看護系の書籍も大幅に増えました。

 

そうすると、臨床経験年数に関わらずに、

自分次第でどこまでも勉強できるようになり

「看護師の能力と成長速度は

  個人によって大きく異なる」

という時代に、とっくに突入しています。

 

その前提が崩れた以上、

従来の看護教育システムでは

逆に非効率的になっています。

 

だから、言います。

 

そろそろ「横並びの看護教育」をやめませんか?

 

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患者さんに大きな個別性があるように、

看護学生や看護師にも能力の大きな差があります。

 

能力の差が良いとか悪いとかの議論ではなくて、

「その差があることを認めた上で

 教育システムを更新しないと」

その差を縮める努力すらできないのです。

 

基本的に、格差は避けられないものです。

 

だけど、しっかりとした介入をすれば、

その格差を許容範囲内にすることは可能です。

 

たぶん、現場も教員も学生も

この教育システムの限界を感じています。

 

まったく持って非効率で、

時間、お金、労力の無駄です。

 

だけど、誰も

「何が原因か」を言語化できていません。

 

その答えが「横並びという前提」です。

 

同じ教室で、同じ講義を受けて

みな同じ結果が出る時代はとっくに終わりました。

 

ちなみに、差を縮める必要もありません。

上はどこまで上に行って良いはずです。

 

さらに、

「グループワークは万能だ」

という幻想もそろそろ捨てませんか?

 

これも「みなほぼ同じ能力である」

という前提で成り立つ学習方法です。

 

グループワークは万能ではなく、

効果的なセッティングは相当限られます。

 

答えがある内容をグループワークとしても

学生同士で役割分担し、それぞれググって終了で

チームワークの勉強になるなんて幻想にすぎません。

 

学生はみな

「一人の方がよっぽど効率的」と感じています。

 

学生も学生で、忙しいのです。

 

また他人とレベルを合わせる必要があり

仕事量も誰かに偏るので、相当なストレスになります。

 

理想は理解できますが、教育は現実で行うものです。

そろそろグループワークもやめませんか?

 

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では、どうしたら良いのか、

具体的に考えていきましょう。

 

答えは、 疫学でいう

「サブグループ分析」です。

 

予備校の授業が

非常にわかりやすい例でしょう。

 

ビジネスなので、純粋に

「最も効果的で最もコストが安い」

教育を模索していますから。

 

例えば、 

看護学生が100人いたとしたら、

模試によって成績がつき、

Cクラス 上位40人
Bクラス 中間40人
Aクラス 下位20人

とクラス分けして授業を行ないます。

 

もちろん、流動性を保つことが不可欠で、

月1回の模試による成績でクラスは入れ替わり、

あえて下のクラスを「A」としているのは、

「C」だと無意識にレッテルを貼ってしまうからです。

 

上位クラスでは、どんどん問題を解かせて

エビデンスとなる論文の内容も盛り込みながら

心外術後の管理などを教えたりしていました。

 

PCPSやIABPなどの補助循環も教えると

「ここまで勉強していいんだ」

とみな目を輝かせて、喜んで勉強していきます。

 

英語の論文を渡したのも、1度や2度ではありません。

 

また逆に、下位クラスでは

問題文と選択肢をひとりひとりに音読させて、

読めない漢字の読み方を丁寧に教えて

解剖学カルタなどを作って、

ゲームで楽しく暗記させていました。

 

驚くことに、このクラスの半分くらいは、

数カ月で上のクラスへと抜けていきます。

 

このような大きな差があるのに、

学校では画一的な授業がなされ、

もはや看護教育がシステムとして

成立していないことを確信しました。

 

臨床教育もまったく一緒で、

なぜか新人も既卒も社会人も、

まったく同じカリキュラムです。

 

個人の能力には非常に大きな差があるので、

それぞれの能力にあった次のゴールを示して、

みな最低限のゴールをクリアさせることが目標です。

 

看護の基本である

「対象のアセスメント」を忘れています。

 

そろそろ「看護婦教育」ではなくて

「看護師教育」について議論しませんか?

 

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  • 看護技術の全国共通認定制度を始めるべし

 

そもそも学校で習った看護技術が

現場で全く使いものにならないのは、

どういうことでしょうか?

 

看護学校で習ったことって、

 看護師になってから使えないことばかりなんだ。」

 

普通の人なら「は!?」ってなります。

だって、明らかに意味不明でしょ(笑)

 

今の時代、シーツの角を三角に折る技術に

どのくらいの優先度があるのでしょうか?

(授業でアメリカの学生に話すと大爆笑です!) 

 

また現場で優先順位が高い

中心静脈カテーテルや人工呼吸器の管理を

学校で教えないのはなぜでしょうか?

 

特に複数の患者を同時に受け持つマルチタスク

学校の時点から教えないと事故につながります。

 

特に病院ごとに

看護技術の手順が大きく異なるのは

放置して良い現象なのでしょうか?

 

前の病院における点滴の固定方法が

次の病院では完全に否定されて、

エビンデンスのない方法が強制されます。

 

これはひとえに

「全国共通の看護技術マニュアル」

がないからでしょう。

 

本来ならば、看護協会が先導して

「全国共通の看護技術マニュアル」

を作成して、無料で公表すべきです。

 

そうすれば、

# 学校と現場の看護技術の解離

# 病院ごとに看護技術のバラツキ

は、かなり少なくなるはずです。

 

このマニュアルを通じて、

学校で看護技術を学べば、

「全国どこの病院でも」

学んだ技術をそのまま適応できます。

  

現在、日本全国には

看護系大学が200校以上あるので、

各々の大学が看護技術を3個ずつ検証すれば、

たった1年間で600個の看護技術を

エビデンスに基づいて」

検証することが可能となります。

 

病院のグッドプラクティスも集めていけば

おおよそ2年(2億円くらい)もあれば、

このマニュアルを簡単に作成できます。

 

看護師1人当たり200円の募金すれば

余裕でこの経費の2億円を超えます(笑)

 

実行可能な提案だと思いませんか?

 

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ポイントはここからです。

 

全国で看護技術を標準化すれば

全国の学校や病院で技術認定テストが行えるので、

ひとつひとつの看護技術の全国共通認定が行えます。

 

簡単にいうと、AHAのACLS認定と同じ考え方です。

 

たとえば、岡田は看護学校で、

採血や吸引などの技術認定を受けて、

働いている病院で、外傷管理や

人工呼吸器管理の認定を受けたとしましょう。

 

すると、その認定リストが

給料に反映されて、キャリア形成の軸になります。

 

また転職の際にも、その認定リストを

次の就職先に提示することで、

看護技術に応じて給料が決まります。

 

一般的なテストで

「知識や思考」の認定をしても

興味深くなると思います。

 

つまり、

看護学校から臨床、将来まで」

のキャリアすべてで、看護技術が

「明確なポータブルスキル」

として、可視化できて持ち運べるのです。

 

簡単にいうと、

すべてのキャリアが積み上げ可能になる

ということです。

 

看護学校では、ヤル気のある学生は

1年生から、どんどん技術認定にチャレンジ可能で

最終学年には、人工呼吸器管理や急性期管理などの

高度な認定を受けることも、できるでしょう。

 

そして、それが就職と給料に反映されるので

がんばった学生は就職と配属、給料で優遇されます。

 

また病院で技術認定に合格すれば、

明確な評価で給料もあがるので、

次の目標が明確になり、勉強モチベーションが上がります。

 

これが公平な評価による

「横並びでない看護教育システム」です。

 

おそらく、看護師ひとりひとりの能力を

明確に評価することになるので、大反発は確実でしょう。

 

ただ、それは看護師が自分自身を守りたいだけで、

患者さんからしたら、まったく理解できない論理です。

 

教育の目的を見失ってはいけません。

 

常に「ひとの命を救うこと」のみに

焦点を当てて議論し決断すべきです。

 

そろそろ

看護技術の全国共通認定制度を始めませんか?

 

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  • 臨床研修は地域の研修センターでやりなさい 

 

自分には臨床教育において、

素朴な疑問が2つあります。

 

# なぜ看護教員は、週1で看護師として働かないのか

# なぜ各病院が、それぞれ研修プログラムを運営するのか

 

英語でいう"Share"の概念がないのです。

 

まず、看護教育を現場に即したものにするには、

「人材交流」をさせることが、一番効果的です。

 

臨床の看護師が、看護学校でレクチャーして、

看護教員が週に数回、現場で看護師として働きます。

 

看護教員は忙しすぎて、

新しい知識を学ぶ時間が少ないので、

あえて現場で看護師として働き、

最新の知識をアップデートしていきます。

 

中堅の臨床看護師も授業をしたり

また週に1日は学校の教員として

教育に関わることでマンネリ化を防ぎます。

 

分断された臨床と教育を、再びつなげるだけです。

 

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一番の疑問は、 そもそも病院ごとに

新人研修をする必要があるのでしょうか?

 

教育は万能ではなくて

中途半端に学んだ人が行ってしまうと

逆に多くの人を傷つけるリスクがあります。

 

看護師が必ずしもよい教育者とは限りません。

 

ただ、しっかりと教育者コースを修了すれば、

たいていの看護師はよい教育者になることが可能です。

 

ここでは、臨床指導者の看護師ではなくて、

大学院を修了した臨床教育の専門家

CNE(Clinical Nurse Educator;臨床教育看護師)

のことを指して議論しています。

 

認定や専門看護師にコンサルするように

臨床教育は、看護教育をしっかり学んだCNE

または上級実践看護師にコンサルすべきです。

 

一番効率的なのは、地域の5個くらいの病院で

ひとつの看護研修センターを共有することです。

 

シュミレーターも置いた形にして、

新人研修や中堅の研修も雰囲気を変えて

病院外のこの研修センターで行います。

 

違う病院と一緒に

研修を行っても良い学習になりそうです。

 

CNEは、この研修センターが主となり、

週に1回くらい各病院をラウンドして

教育に関するコンサルを受けます。

 

それぞれの病院で研修をやろうとすると

資源の無駄だし、質が落ちるのは確実です。

 

だから、そろそろ

臨床研修は地域の研修センターでやりませんか?

 

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  • 横並びの看護教育はもうやめなさい
  • 看護技術の全国共通認定制度を始めなさい
  • 臨床研修は地域の研修センターでやりなさい

 

今回は、臨床教育にも比重を置いて、

看護教育における

「システム・アップデート」

について提案してみました。

 

現実な改革プランでしたか?

違和感は言語化されていましたか?

 

意見を聞かせて頂けると幸いです。

 

このカオスで古い看護界を変えるには

「看護教育」「看護管理」

が主な改革ターゲットになると思います。

 

ま、看護管理は、看護師長と看護部長をすべて

看護師以外に任せれば、すべて解決しますので、

今回はあまり議論しませんでした(笑)

 

一般企業のマネージャーやMBAホルダーがベストです。

 

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結局、 日本看護界の一番の問題は、

「リーダーの不在」と

それによる「ビジョンの欠如」です。

 

日本看護協会は、

おばあちゃんたちの集まりで、

若手の看護師の意見を

反映してくれるとは到底思えません。

 

だから、日本看護協会

お金を払う意味が全くわかりません。

 

こういう発言が

日本の看護界から嫌われている理由ですが。

 

別に嫌われることは気にしていません。

システムに信念を奪われることを恐れています。

 

長々と書いて来ましたが、

看護教育は一旦ここまでとします。

 

意外と盛り上がって良かったです。 

今週はマジでマジで疲れたぜー。

 

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