NEW NURSING

ハワイの疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

カルチャー・フィット

ハワイ大学は、来週から本格始動なので、

今週はまったりと、自分の仕事しております。

 

今年は、脳神経疫学(Neuro EPI)が目標なので

脳神経の医学書を開きながら、カリカリ勉強しています。

(もちろん、ゴリゴリのHIP HOPを聞きながら)

 

音楽聞いて「かっこいいー!」と思う感じと

疫学の論文で「これ、すごっ!」という感覚は

自分にとっては、まったく同じ次元の話です。

 

Justin Bieberの新曲を聞くのと

New Englandの新しい論文を読むのは、同じ感覚(笑)

 

自分の教授(白人のおばあちゃん)からも

「最近の若い研究者は、そうでなくっちゃ!」

と褒められています。(あきれられている?)

 

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今回は、よく質問を受ける内容である

 

「大学院、どこに行ったら良いですか?」

「就職先、どこにしたら良いですか?」

 

に対する、自分なりの答えを提示します。

 

ぼくは、いつも

「カルチャー・フィット(Culture Fit)」

を軸に、自分の環境を選んでいます。

 

簡単にいうと

「組織の文化・雰囲気が、

 自分の文化・雰囲気に合っているか」

という視点です。

 

ぼくは、人生における選択のほとんどを

「カルチャー・フィット」で選んできました。

 

例えば、世間的には、疫学の研究は

アメリ東海岸が有名ですが、

ぼくは、あえてハワイ大学を選びました。

  

答えは、簡単、自分に合っているからです。

 

東海岸でバリバリ研究する自分は、

まったく想像できないし、つぶれると思います。

 

逆に、青い海でサーフィンしながら

ネイティブ・ハワイアンと議論しながら、

地域の問題を、疫学で解決することは

自分が大切にしているスタイルです。

 

自分は、管理されると嫌になるタイプなので

自由に仕事できる環境で、長期的に大きな成果を出します。

 

ハワイは自由で、まったりしており

孤立している分、ユニークな研究ができるので、

自分の性格や感覚に合っています。

 

これが「カルチャー・フィット」です。

 

もちろん、ハワイの文化が合わなくて

去っていく優秀な研究者も多くいます。

 

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つまり、世間の評価よりも

自分の特性や感覚に重点を置いて

自分のキャリアを選択すること。

 

これは本当に大切なことだと思います。

 

間違えても、世間の指標で

自分の教育や職場、人生を選んではいけない。

 

世間と自分の感覚は、異なるのだから。

 

臨床では、自分はあえて

大学病院や公立病院などの大病院は避けて

民間の忙しい中規模病院に就職しました。

 

当時、聖路加の大学院を出て、

北海道の小さな病院に就職すると言うと、

キャリアを棒に振るよと言われました。

 

けど、1例でも多くの症例数が見たかったし、

硬直した組織は自分に合わないと感じていたので、

人生において素晴らしい選択となりました。

  

とても忙しく、また自由な環境だったので

おかげさまで、一生分の救急車を見れたし(笑)

多くの手技を任されて、今でも役に立っています。

 

そもそも、沖縄、アフリカ、北海道、ハワイと

世間的な評価とは無縁の選択肢を選んできました。

 

だから、良かったんだと思います。

自分には、とても合っていた。

 

自分の特性や感覚に合った教育や職場を

自分で選んだからこそ、今、とても居心地が良い環境にいます。

 

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だから、世間の評価は気にしないで、

自分に合う大学院や職場に行けば良いと思います。

 

自分が一番、成長できるのは、

自分に合った環境でしょう。

 

とても当たり前ですが(笑)

 

生活しながら大学院行くなら、

フレキシブルに通えるところで大丈夫だし、

進みたい領域が決まっているなら、

単科の小さい病院でも十分と思います。

 

大学や病院のブランドに惑わされずに、

自分にあった環境で、自分のブランドを確立して下さい。

 

ちなみに、経営者としても

「カルチャー・フィット」は大切にしています。

 

ぼくたちは、超仕事がデキる人とは

あんまり、一緒に仕事しません(笑)

 

バリバリ仕事されても

こちらが受け取るキャパ不足だから(笑)

 

それよりも、一緒に笑って悩んで、

楽しく働ける人材とあえて働いています。

 

フレキシブルで自由な発想の人。

 

文化が合う人と仕事した方が

長期的には良い成果が出せると思います。

 

文化の異なる大手企業と一緒に仕事して

何度も痛い目を見てきたので、自信を持って言えます。

 

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ということで、最初の話に戻ります。

 

ぼくにとっては、音楽と研究は同じ感性です。

サーフィンするのも、医学書読むのも同じです。

 

こういう自分に特有の感性が

否定されない環境を選んでいくべきです。

 

感覚は人によって大きく異なります。

 

自分が何か好きで、どんな感性を持ち

どんな環境なら楽しく仕事できるのか、

ゆっくり考える時間を作ってみて下さい。

 

それが自分のキャリアの軸となります。

 

この「カルチャー・フィット」を

大学院や職場を選ぶ一つの軸にしてみて下さい。

 

そもそも、みんなが同じ方向を向いて、

みんなが上を目指す時代は、とっくに終わりました。

 

横に進んでも良いし、止まっても良いし、

なんなら、下に進むのもおもしろそうですよね。

 

個人で好きな方向、心地よい場所に進めばいいんです。

 

「キャリア・アップ」ではなくて、

「キャリア・フィット」(自分の人生に仕事を合わせる)

を目指していく時代なのだと思います。

 

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