NEW NURSING

ハワイの疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

精神看護の未来

仕事も少し落ち着き

ゆとりを伴って生活しています。

 

なんで統計の仕事は

大きな波があるのでしょうか。

 

次の波は、いつ来ることやら。

 

ちょうど、良い質問を頂いたので

「精神看護の未来」を論じてみます。

 

精神看護は、専門ではないので

「未来」と呼ぶには気が引けますが。

 

公衆衛生の専門家ですので、

大きな流れから課題を取り上げます。

 

自分の弟は、先天性の疾患であり

統合失調症様の精神症状があるので

ひとりの家族として、兄弟として

議論を深めていきたいと思います。

 

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1) 身体科合併症と意思決定

 

最も大きな課題は

「精神科入院患者の高齢化」です。

 

精神科医療には、様々な歴史があり

長期の入院患者が多いのが特徴です。

 

長期入院に伴う入院患者の高齢化が

大きなインパクトだと考えています。

 

日本全体も急激に高齢化していますが、

精神科医療の対象も高齢化しているのです。

 

キーワードは、

# 身体科合併症(変な言い方ですが)

# 意思決定システムによる権利擁護

になると思っています。

 

特に、精神科病棟の高齢化による

身体科疾患の合併症は急務です。

 

生活習慣病やがん、ターミナルなど

いわゆる「身体科」の疾患が増えており

精神と身体の両方を見れる人材が不足し

さらに受け皿となる病棟の不足が深刻です。

 

精神科に入院歴があるというだけで

入院を断る身体科の病院もまだあります。

 

逆に、軽い肺炎になっただけでも

全身を見れない精神科病棟も多いものです。

 

精神科における身体科の合併症病棟は

スピード感を持って議論されるべきだし

対応できる看護師・医師を教育すべきです。

 

数ヶ月でよいから、精神科と身体科を

短期ローテーションするシステムを

作ることが長期的にメリットがあります。

 

身体科の看護師も精神科ケアを学べて

サービスの幅が広がり、質が向上します。

 

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次に、意思決定のあり方です。

 

精神に長期入院していると

家族や親戚も疎遠がちになり

さらに高齢となると自然と

自分でも意思決定が困難となります。

 

どこまで医療を提供するのか

ターミナルをどうやって看取るのか

誰に意思決定を託したら良いのか

非常に重要な人権的な問題が

精神科だからということで

曖昧に議論されていると思います。

 

看護師がしっかりとアドボケイトして、

公平で透明性のある人権擁護システムを

早急に作るべきだと思っています。

 

めんどくさいこと、難しいことに

しっかりと丁寧に向き合った時に

新しいイノベーションが生まれます。

 

今は、医療者による意思決定が主流で

誰からの監査も受けずに、決定となります。

 

これから、精神科でリーダーをとる人材は

当事者の意思が曖昧な決定が専門となるでしょう。

 

最高級の直接ケアを

提供できるのは当たり前です。

 

ケアというサービスに

最大限の付加価値を付けるべきなのです。

 

もちろん、自分の弟も

障害児から障害者となり

# 心不全を含む身体科

# 親が亡くなった後の意思決定

に自分も、とても頭を悩ましています。

 

  • 精神科ケアをサービスと定義しよう
  • 身体科合併症をどうケアするのか
  • 意思決定システムを構築すべき

 

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2) 地域にかえる中継地点

 

障害児をもつ兄弟として

昔から思っていることが

「ひとり暮らしをさせてあげたい」

ということ、とてもシンプルなことです。

 

青春、恋愛、バイト、夜遊び

いろいろと経験させてあげたかった。

 

想像以上に、精神科に対応する

グループホーム訪問看護が少ない

ということが大きなネックになります。

 

自分が大学生の時(15年前)から

「精神科の患者さんを地域に帰す」

と言いつつ、何も変わっていません。

 

地域の偏見、訪問資源の不足、

病院の収益への影響など

既存のシステムを大きく変えるのは

やはり、とても難しいのでしょうか?

 

アメリカでも、トップダウン

精神科の患者を地域に無理やり返し

歴史的に大きく揉めながら、後追いで

地域システムを作ってきたと聞きます。

 

「教会」という地域組織は

やはり福祉の面ではとても強いです。

 

海外の精神科医療を勉強することで

何かヒントをもらえるかもしれません。

 

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精神科で働く友人も言っています。

 

「最後くらい、家に帰してあげたいよね。」

 

医療者ではなくて、一人の人間として

素晴らしい感性だと思っています。

 

ただ、そのまま家に帰すことは

少しハードルが高い印象があります。

 

だから、病院と在宅の中間地点

グループホームデイケアなどの

地域に帰って生活するためのリハビリ

中継地点を作るべきだと信じています。

 

病院未満、在宅以上のケアが提供できる

生活の場という曖昧な中間地点が

精神科医療だけに関わらずに日本全体で

必要になると、個人的に推測しています。

 

地域で戦略的にモデル事業を行って

ノウハウやグッド・プラクティスを

システム化すれば、必ず実行可能です。

 

日中は就労支援やデイケア

夜は病院に近い環境で生活する。

 

新しいデザインを看護師から

社会に提案する必要があります。

 

今のモデルを変えるのではなくて

ゼロから何かを創る必要があるのです。

 

地域全体を病棟にするという概念を

精神科の地域医療・福祉で実現して下さい。

 

病気や社会的背景に関係なく

NICUのこどもも、精神科の患者さんも

普通に家に帰れる社会を創るべきです。

 

ビジョンと行動で示せる

新しい精神科のリーダーを求めています。

 

  • 家に帰るという、当たり前の選択肢を
  • 病院未満、在宅医療以上という中継地点
  • ゼロから新しいシステムをデザインする

 

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3) 予防とアクセス

 

日本が生きづらくなったせいか

精神疾患が増えてきているように感じます。

 

ドバイを含む発展途上国でも

認知症を含む精神疾患が増えているので

中核病院に精神科病棟を作り始めています。

 

国際保健でも、疫学でも

今後は、精神科疾患に関する分野が

大きな分野になると確信しています。

 

データが、ほとんどないのが現状です。

 

公衆衛生的には、拡大する疾患は

# 一次予防(疾患の発生予防)

# 二次予防(早期発見・早期治療)

が、コントロールの定番となります。

 

精神科疾患の予防とアクセスに重点を置き

一般市民レベルで精神科を身近なものにする。

 

スタバに行くように精神科外来や

カウンセリングにいける文化のことです。

 

まずは、職場でのスクリーニングでしょう。

 

ストレス・チェックなる意味不明なものが

一定の職場で行われるようになりましたが、

うまく活用されておらずに驚いております。

 

精神科の看護師も、産業保険に参入して

週に一回くらいは、病院から出て、

学校、職場、一般病棟で精神科ケアを

一般的な場所に提供すべきだと思います。

 

個人的には、スマホの顔IDもあるし、

日常の表情、ネット検索、ラインから

スマホが、精神科疾患を自動的に

スクリーニングできる時代になると

思っているし、そうなるべきです。

 

がん検診は「がん」がないことを

確認しにいくことがほとんどです。

 

同じように精神科スクリーニングも

「ストレス範囲内」であることを

確認するために使ってほしいものです。

 

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そこで理論的には

アクセスが大きな障壁となります。

 

従って、アクセスを高めることです。

 

精神科外来は、精神CNSであれば

クリニックを開業できるようにして

カウンセリングを提供すべきです。

 

もちろん、重症例や処方が必要な場合は

病院へ紹介することが基本となりますが。

 

マツキヨ、イオンとか買い物する場所に

精神科看護師のオープンクリニックを

開くことが効果的かなと考えています。

 

処方に関しては、なんとも言えないです。

ハワイでも同じような議論があります。

 

ハワイ州では、心理カウンセラーは

開業できますが、処方ができません。

 

そこで、一定の薬を処方できるように

州政府が議論を進めているところです。

 

もちろん、リスクや反対も大きい。

 

精神科が敷居が高いし、料金も高いし

ミニッツ・クリニックみたいに

「買い物ついでに予防接種を打つ」

みたいな、気軽にアクセスしやすい

精神カウンセリングが必要でしょう。

 

先週もサーフィンで足に切り傷ができ

さすがに縫合だな(笑)と、帰りに

近くのドラッグストアの中にある

NPのミニッツ・クリニックに寄って

縫合して破傷風ワクチンを打ちました。

 

待ち時間なく、15分で終わりました。

夜ご飯と、コーラも買えたしね。

 

精神科看護師によるスクリーニング

カウンセリング外来は、法律が許すのなら、

日本でビジネス化したいと思っています。

 

  • 精神科疾患のスクリーニングを作る
  • 精神科看護師はもっと、病院から出るべき
  • 精神科看護師のクリニックを開設する

 

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封建的な政府や医療機関

なかなか身動きとれないので、

ビジネスとしてベンチャー

市場を創造していくべきだと思います。

 

精神科という難題が大きい領域だからこそ

新しい提案でイノベーションを起こしていく。

 

目先の問題に対処するのではなくて

デザインで根本的な問題を解決していく。

 

精神科医療をビジネスから考えてみますね。

 

余談ですが、最近は仕事で

どこの学校や大学、職場に言っても

発達障害」の相談されることが多く

どうマネジメントすべきか悩んでいます。

 

罹患率が上昇したのかは不明ですが、

教育や仕事の場で、発達障害人格障害

顕在化してきたと感じる現場の感覚は

とても正しいものとして理解しています。

 

発達障害やパーソナリティ障害を

教育や職場でどこまで指導するのかは

みんな困っていることだと思います。

 

特に看護教育、看護師指導の現場で

とても疲弊しているように思います。

 

看護学校では卒業させるべきなのか

病棟や看護部では転職させるべきなのか

看護の世界でも「精神科ケア」は

大きな課題になっていると思います。

 

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個人的な思いからの

「精神科看護の課題」でした。

 

自分は、精神科は専門でないので

間違えや、表現に不備があれば

教えていただけると助かります。

 

自分も臨床時代に、うつなるまで

精神症状が、こんなにもつらいとは

1ミリも、想像していませんでした。

 

「うつ」かな思って電話しても

どこの病院も新規をとってくれないし

服薬の時は自分に内なる偏見があること

が患者になって、初めてわかりました。

 

偏見、症状、アクセス、家族

精神科特有の社会的な問題が

何重にも絡まって放置されています。

 

これを解決できるのは

看護の視点と思考だと信じています。

 

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誰でも、人生1回くらい「うつ」になる

と考えているのは、自分だけですかね(笑)

 

ちなみに、30歳の時には

腰の骨折って、2ヶ月以上も

車椅子で生活をしています。

 

家の向かいにあるセブンに

歩いて行くことが当時の夢でした。

 

整形外科病棟で、認知症のおばちゃんと

一緒にご飯食べて、リハビリしていました。

 

全力で走って、前のめりに転ぶという。

昔からの自分のダメな失敗クセです。

 

同じ状態にならないように

みなさんも身体・精神ともに

意図的に休めて下さい。

 

夜勤は精神的な影響もあるので

遠くから、少し心配しております。

 

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