NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

診療看護師2

インタビュー記事は、

時間がかかり、やりとり多いわりに

1円も発生しないのですが(笑)

好評なので続けていこうと思います。

 

疫学と医療統計が専門ですが、

質的研究もできるところを

お見せしております(笑)

 

前回に引き続き、

別の診療看護師(NP)のインタビューです。

 

以下、次のような発言となります。

Y) Yuito

T) (前回とは異なる)診療看護師

 

Tは自分より年下で、

今年2年目の診療看護師です。

 

臨床時代に自分が「珍しく」

熱心かつ真面目に指導した後輩で、

非常に親近感を持って接しています。

 

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Y) おい、ひさしぶりだなー、このやろー。

 

T) 本当にお久しぶりです。元気ですか?

 

Y) 超元気、超元気。偉くなったな、このやろー。

(直属の後輩だったので、扱いが雑です。)

 

実は昨日、M氏にインタビューして

診療看護師について概要的な話を

聞かせてもらったんだよね。

 

今日はさらに掘り下げて

聞こうと思ってるから、よろしく。

 

まずは、診療看護師は

どれくらいの数、オーダーしているの?

 

T) そうですね。

 

ちょっと待って下さい。

今調べてみますね。

 

あ、ありました。

 

だいだいですけど、

1日あたりで計算すると、

検査と注射(点滴含む)が10件と少し、

内服処方が5件くらいの感じですね。

 

あと、救急なので、転院が多くて、

診療情報提供書が1日1〜2件、

患者さんへの説明が1日1〜2件

となっていますね。

 

平均的な値としては、このくらいです。

医師よりも少し少ないくらいです。

 

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Y) けっこうな数だね。

診療情報提供書は、

換算するとすごい数だね(笑)

 

データは、どうしてとっているの?

 

M) そうですね。

 

やっぱり、診療看護師の働きを

客観的に数で提示したり、

評価しないといけないと思うので。

 

なかなか不安定な制度だし、

いろんな人がいろんなこと言うので、

データで示さないと議論にならないと思います。

 

いろいろと言われている新しい領域なので

今はがんばってデータをとって解析しており、

今後まとめて学会で発表する予定です。

 

実際、診療看護師がいると

「入院した時点から

 患者さんの生活やADL、認知レベルを把握できる」

ので、治療のゴールも的確かつ明確になり、

本人や家族に退院後の話まで先にできるので

在院日数も短くなると考えているし、

実際、データ上そうなっています。

 

ただ、診療看護師が入る前と後では

患者層や重症度が違うと言われたら大変なので、

そういうデータの調整は、よろしくお願いします(笑)

 

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Y) もちろん。もちろん。

コンサル料は高いけど、大丈夫?(笑)

 

アメリカでも診療看護師(NP)は、 

大議論の末、データの力で確立されたからね。

 

日本でもデータなかったら、

いつまでも確立できないままだと思うよ。

 

次に、診療看護師がやっている

具体的な手技について聞きたいんだけど

実際はどういう状況かな?

 

T) はい。

 

今は、特定行為という名前ですが

他の組織のことは知らないので、

自分たちの組織における話になります。

 

実際にやっているのは、

# PICCカテ挿入

# Aライン留置

# 動脈からの血液ガス採取

あと何かありましたっけ!?

 

普通すぎて、わすれてしまいました(笑)

(Yuitoが特定行為を読みあげる)

 

そうでした!!

# ドレーン抜去

# エコー

# 処方や抗菌薬

# 輸液管理

# インスリン管理

とか確かにやっていますね。

 

あと、救急だと感染症多いので、

グラム染色は必須ですよね。 

 

染めないと抗菌薬選択できないですから。

 

Y) なるほどね。

また、いろいろと教えたくなってくる(笑)

実際に、自分でオーダーするようになって

わかったこと、かわったことってある?

 

ものすごい量の知識と意思決定が必要でしょう。

昨日もM氏と同じ話をしたんだけど。

 

T) はい。

 

えっと、一言で言うと、

オーダーするのが

「めっちゃ怖いです。ほんとに。」

 

他の人から見たら、

ただのクリックかもしれないですけど、

「オーダーをクリックするのが

 本当に怖いと感じますね、正直。」

 

今までの自分は、

もっと簡単なものかなと思ってました。

 

昔は、医師に気軽に

「早くオーダーしてよ」と言っていましたが。

 

これが一番の変化ですかね。

 

あとは、検査のオーダーを出す時に

次のアクションを考えるようになりました。

 

例えば、

「この検査で陽性なら、次はこういう展開で」

「陰性ならば、次はこういうシナリオで」

みたいなかんじです。

 

ただ検査を評価するだけでなくて、

「どう戦略的に検査を組んでいくか」

という検査の必要性から

いろいろと考えるようになりました。

 

意思決定に影響を与えない検査をしても

あまり意味はないし、逆にゴチャゴチャしますしね。

 

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Y) 成長したじゃないかー、このやろー。

まったく、そのとおりだぜー。

 

看護師だと、あまり戦略的に

診断していくロジックは学ばないよね。

また、鑑別診断もあげる習慣ないしね。

(ぼくは、鑑別診断をあーだーこーだ、

 みんなで議論するのが

 生牡蠣と白ワインくらい大好な人です。)

 

鑑別診断に関する議論はどう?

 

T) もちろんです。

 

鑑別診断は自分で考えますし、

医師とも常にディスカッションしてます。

 

自分であげた鑑別診断を軸にオーダー出して、

その仮説と結果をまた医師に相談する流れです。

 

すぐに相談できる環境は本当にありがたいです。

 

例えば、急性腎不全なら、

検査から腎前性、腎性、腎後性と分けて考えて

鑑別を狭めるためにオーダーを組み立てていきます。

 

朝にオーダーための包括指示をもらって、

夕方にこのオーダーでよかったのか

必ず医師とカンファレンスして

オーダーを確認しています。

 

医療安全に関わるところなので、

チェック機能がないと危ないですよね。

 

いつでも安心して聞けるし、

医師サイドもしっかりと

フォローと教育をしてくれている気がします。

 

本当に恵まれている環境だと思いますね。

勉強も大変だけど、素直に勉強が楽しいです。

 

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Y) 自分はいつも、看護師は医師と

同じ部分があってもいいと思っているんだ。

 

手技も思考も、どっちがやってもいいよね。

CV挿入とか痛み止め処方とか、

空いている人がやればいいと思うし。

 

むしろ、医師とある程度同じことができないと

今の時代、医療を適切かつスピーディに提供できないし、

結果として、アウトカムも良くならないと思うよね。

 

だけど、そういう医療を包括する新しい看護を

古い看護の人たちが、それは看護じゃないと反対して、

むしろ、看護側の論理で患者へのケアを狭めていると思うんだ。

 

ミニドクター反対みたいなこと言われるけど、

逆に鑑別診断を考えない、検査を議論できない看護師は

今の時代、看護師として足りないと考えているよ。

 

おっと、熱く語りすぎた。ごめんよ。

 

T) 言いたいことは、すごいわかります。

 

自分は診療看護師2年目なので

医師や看護師と何が違って、

診療看護師が何を貢献できるのかは

まだまだ曖昧ですけど。

 

医師と同じになる必要はないけど、

看護と一緒に治療や診断が提供できると

患者さんからしたら一番良いのかなと思います。

 

逆に、治療や診断が一緒に提供できないのに、

いい看護だけ提供できることは少ないと思います。

 

一番初めに戻りますけど、

診療看護師だと入院した時点から、

ADLや認知機能、在宅や家族を考えるので

入院した時から最適な退院プランを考えて

いろいろと行動できるのが強みだと思います。

 

ソーシャルワーカーとの他職種連携も

看護師にとってはごく当たり前なことだし。

 

家族や他職種と早期にゴールを共有して、

退院にもっていけるので良い結果も出ています。

 

ある意味、

本来のあるべき医療と看護ですよね。

 

医師と看護師の専門分化に伴い、

うまくできない部分を再びつなげるかんじです。

 

注射とか検査とかのオーダー数も

それは実際、別にいいかなと思っています。

 

他の人にどう言われているかは、

あまり気にしていないので、

今は、とりあえず、

自分がしっかりと仕事することですね。

 

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Y) いいこと言うじゃねかー。

Tは若い世代だし、そういう思考がスムーズだよね。

でも、勉強は大変でしょ?

 

T) 本当にそうですね。

責任があるから、生半可な勉強では足りないですし。

 

勉強して、さらに医療の怖さを知りました。

 

例えば、今まではオーダーされた薬を

さらっと注射していたけど、

オーダーを出す側になると

妊娠可能な年代の女性が患者だと、

基本的な薬をひとつオーダーするだけでも、

妊娠反応検査しなきゃと思うようになりました。

 

だって、たったひとつの薬で

その人の人生を変えてしまう

かもしれないわけですからね。

 

あまりに考えすぎて、プリペランでさえ、

怖くて簡単に注射できなくなりましたね。

 

何気なく1日に何度も注射していたのに(笑)

 

Y) 昨日も同じような議論してて

しっかりとしたシステムがあれば、

看護師も的確なオーダーをできるようになる

と思うんだよね。全員ではないけどね。

 

ただ、看護教育と免許制の壁が

その能力を引き出せていないと思う。

 

T) それは本当にそうだと思います。

自分でも、いろいろとサポートを受けて、

できるようになりましたから。

 

だって、初期研修医とか

自分から見ても「危な」っていう

オーダーすることありますよね(笑)

 

だけど、しっかりとした教育環境と

安全なフォローシステムがあるから

短期間ですごく伸びて、意外と早く

まともなオーダーができるようになります。

 

それは医師や看護師というより

教育環境と実際にやらせる環境なんですかね。

 

実際にオーダーした方が

要求されることが大きいので、

かなり成長できると思います。

 

自分としては安全面は非常に大切で、

今は医師の下だから安全にオーダーできて

インシデントが起きないと思うけど、

これが一人だったら、確実に安全でない状況ですよね。

 

診療看護師の能力を議論するよりも

安全なシステムを議論した方が

よっぽど現場に即した回答になると思います。

 

自分はまわりがそういう環境を作ってくれたので、

本当にラッキーで感謝しています。

 

あと実際に診療看護師として

教えてくれる人がいないので、

診療看護師としての役割は手探りですね。

 

将来的には言語化して

後輩に教えれるようになるといいですね。

 

あ、Yuitoさんの影響は相当でかかったです。

 

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Y) おお、キターキター。

その話じっくり聞かせて(笑)

 

T) 病棟で働いている時は

「ま、看護師ってこんなものか」と思っていたけど、

救急でYuitoさんと一緒に働いて、衝撃でしたね。

 

なんとも言えない衝撃です。

 

ガイドライン、全部頭に入っているし、

普通に空いた時間に論文読んでいるし、

研究医に鑑別とか指導しているし、

医者からコンサル受けているし、

そのオープンなキャラクターだし。

 

「すごい人、意外と身近にいたよ」と

「自分もこうなりたい」

という単純な気持ちですかね。

 

看護師で、ここまでこれるんだと。

むしろ、ここまで、やっていいんだと。

 

同じ男性看護師だし、

年が近くて同じ価値観で

そこまでリーチしているのが刺激で

将来的なビジョンが見えた気がしました。

 

Y) あのころの臨床は楽しかったね。

ま、珍しく本気で教えたよね(笑)

 

あれから5年くらい経つけど、どう?

自分の理想という目標には近づけている?

 

大学院に行けと言ったら、

ほんとうにさらと行ったよね。

 

T) 実は、思ったより近づけています(笑)

 

5年くらい前に衝撃を受けて

漠然だけど次のステップを考えて、

大学院行って勉強して

診療看護師も始まったころで

じゃ、勉強してみようかなと。

 

救急外来に転属になって

そこで、いろんな症例を観れたので、

病態や検査、鑑別とかは

勉強にかなり役立ちました。

 

当時は漠然としていましたけど

今は自分で納得して医療できているし、

大変だけど勉強も意味があるし

自分で管理できるのが素直に楽しいです。

 

大学院は学部の時から

「いつかは行くものだ」

と考えていました。

 

大学の先生からも

早い方がいいよと勧めらたので、

ごく自然に大学院に行きました。

 

いろいろと恵まれて、

5年くらい前の病棟で働いていた時からすると

考えてもいなかった場所に今います。

 

なにせ先輩があまりいないので、

自分のやっていることが本当に正しいのか疑問です。

 

とりあえず、今は自分の仕事しっかりして、

診療看護師の研修プログラムを確立したいです。

 

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T) なるほど。

若いのに素晴らしいキャリアだね。

さすが新世代。インタビュー長くなってごめんな。

最後に、診療看護師を目指す人に伝えたいことがある?

 

そうですね。

 

意外と単純で、なんかモヤモヤしたり

患者にもっといい管理があるのにとか、

もっとこうした方がいいのにと思っている人は

素直に診療看護師課程に行った方がいいと思います。

 

自分で責任をもって医療を提供できるし、

自分の能力で患者を良くもできるので。

 

もちろん、

悪くしてしまうリスクもありますが(笑)

 

今はあまり診療看護師の役割を

これは医者で、これは診療看護師だみたいに

定義しすぎない方がいい気がします。

 

診療看護師をやっていれば、

その役割が自然と見えてくるのかなと考えています。

 

Y) いろいろとありがとう。

これからの自分の目標ある?

 

そうですね。

 

さっき行ったデータ分析の発表と

あとは研修プログラムを確立したいですね。

 

幸いにうちの病院は、医師も教えたがりだし

研修医もたくさんいて教育システムあるし

症例も豊富なので、いいプログラムになると思います。

 

素直に、もっと診療看護師増やしたいです。

 

2年間のプログラムにして

研修が終了したら残ってもいいし、

他の病院に行っても良いというシステムです。

 

まずは、しっかりと

指導できるようになります(笑)

 

Y) いろいろとありがとう。

 

T) ひさびさ話せてよかったです。

続きは直接会って話しましょう!

 

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