NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

診療看護師1

ハワイでも夕方は寒くなってきました。

ま、海の中での話ですが。

 

前回のインタビューとNPの歴史の件、

大変な好評を頂き、非常にうれしかったです。

 

読者のレベルの高さに脱帽です(笑)

 

ということで今回は、今話題の

「診療看護師(NP)」

にインタビューしてみました。

 

最近では、

診療看護師に関する本も出版されて、

その役割もイメージしやすくなりました。

 

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診療看護師(日本版NP)は

まだまだ新しい制度(行為)なので、

どの病院でも働き方を模索しているし、

病院毎に役割もかなり異なるのも現状です。

 

従って、今回は個人的に

「自分と価値観が一番近い診療看護師」

にインタビューしてみました。

 

ひとつの働き方として考えてみて下さい。

具体的な臨床内容に焦点を当てています。

 

以下、次のようになります。

Y) Yuitoのコメント

M) 診療看護師のコメント

 

Mは自分の尊敬する男性看護師で

今年の春に大学院を修了した

今年1年目の診療看護師です。

 

看護師特定行為研修 まるわかりガイド

看護師特定行為研修 まるわかりガイド

 

 

Y) アニキ、本当にご無沙汰しております。

今日は、話題の診療看護師について、

いろいろと聞いていこうと思います。

よろしくお願いします。

 

M) ホントに、ひさびさだね。

今はハワイかな?元気そうで何よりです。

まだ新米の診療看護師だけど、よろしく。

 

Y) では、さっそく。

まずは具体的な働き方から聞きたいです。

診療看護師としての所属とか、

研修のプログラムとかです。

 

M) 了解です。まずは所属からね。

 

他の組織も同じだと思うけど、

診療看護師の所属を

# 診療部(医師部門)にするのか

# 看護部(看護部門)にするのか

いろいろともめたらしい。

 

けれど、最終的に今は

「看護部長の下にある

 独立的な診療看護師部門」

になっているよ。

 

医師部門は、包括的な管理なんだけど、

看護部門だと残業代とか

しっかり管理してくれるから

自分としては、わかりやすい所属かな。

 

で、次に研修プログラムね。

 

春に大学院修了して、

診療看護師なったばかりだけど(笑)

 

研修プログラムは基本的に

診療看護師としての始めの1年間で、

医師のスーパーローテーションと同じで

主な診療科を3ヶ月ごとにまわるシステム。

 

研修医たちと同じシステムだけど、

意図的な違いは、

その診療科でしっかりと働けるように

少し長めに3ヶ月とってあるんだよね。

 

だって、1・2ヶ月だと

見学とあと少しで終わってしまうでしょ。

 

だけど、オーダーを出すとか

治療戦略を考えるために実用的な経験が必要だから、

いろいろと議論して3ヶ月になったんだ。

 

実際、3ヶ月がちょうど良いと思う。

病棟の看護師とも関係性ができるから

今後の仕事にもローテーションが活きてくるし。

 

ローテートする診療科は、

救急・循環器・消化器とか主な診療科ね。

 

手術はしないから、外科系は少ないんだけど

外科的な管理の希望がある他の診療看護師は、

ローテーションに脳外科とか外科系をいれて、

自分で少しカスタマイズしていたよ。

 

自分は総合診療科や外来を

希望しようと考えているところ。

 

で、2年目は自分の希望する診療科で

みっちりと働いて専門特化していくかんじかな。

 

ちなみに2年目の診療看護師は

救急の入院病棟を専門に働いているよ。

 

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Y) 兄さん、わかりやすいよ!

まさに、スーパーローテーション

診療看護師には必須ですよね。

実際の勤務とか給料とかは、どうなんですか?

 

M) 確かに仕事内容とかイメージしずらいよね。

 

まず、勤務は基本的に

朝730から夜700くらいまでの日勤ね。

 

今の自分の状況だけど。

 

夜勤はやりたければ、できるよ(笑)

2年目のやつは最近まで夜勤やってた。

 

看護部なのでしっかり残業代も出て、

書面上だと月50万と少しくらいかな。

けっこう残業してるからね(笑)

(日本のある地方都市です)

 

2年目からは基本給が6万円あがる予定!?

なんだけど、詳しくは2年目のやつに聞いてみて。

 

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そして、診療看護師としての1日ね。

 

今は救急の入院病棟において

医師と診療看護師2人で、

30人前後くらいを管理しているよ。

 

0730

まず出勤してから、

担当医師と他の診療看護師と

1時間くらいのカンファレンス。

 

昨日にオーダーしたラボが出ているので

いろいろと評価して、検査の見直しとか、

治療の方向性を議論して、退院調整もしていく。

 

Yuitoはアメリカだから、

やや理解しにくいと思うけど、

日本では診療看護師といえども

まだまだ医師の許可が必要なので、

このカンファレンスでいろいろと議論をして

その方向性に医師から了解を得たことになり、

法律的には「医師からの包括指示」を得たという解釈で、

あとは細かいところのオーダーは自分たちで出します。

 

0830

朝のカンファが終わって、

病棟ラウンドして、

いろんな業務をする時間ですね。

 

けっこう午前中は忙しいね。

というか、どの病棟でも

午前中は忙しいよね。

 

患者の状態をさらに見に行って、

カルテ書いたり、いろいろと調整したり、

転院と退院に関することが多いかな。

 

必要であれば、午後の評価に間に合うように

追加の検査をオーダーすることもしばしば。

 

救急外来の病棟だから、

退院と転院が多いから、

診療情報提供書や転院先との調整で

かなり忙しい時もあるよね。

 

1300

午後は、日によって異なるね。

 

やっぱり、診療看護師の強みのひとつに

他職種連携があって、これが割とうまくいっていて

特にソーシャルワーカーに早期からコンサルして、

シームレスな退院や転院につながっているんだ。

 

だから、それをシステム化するために

ソーシャルワーカーと週1回会議を設定したので、

そういう会議の時もあるし、

また午後は救急外来が忙しくなってくる時間なので、

そのサポートにまわったりしているかな。

 

HCUとICHは基本的に医師が管理しているけど、

そこをサポートすることもあるかな。

 

PICC

(Peripherally Inserted Center Catheter;

 末梢挿入中心静脈カテーテル

の依頼が午前中のうちに

病棟からある時も多いので、

時間みつけて、入れにいきます。

 

1630

夕方のカンファレンスを開く時間ね。

 

救急は患者の入れ替わりが激しいし、

自分たちが出したオーダーを

カンファレンスで医師たちと一緒に

振り返って評価するために

夕方もカンファレンスしているよ。

 

患者の状態の確認と鑑別診断や治療方針で

疑問があったら議論して明確にして、

包括指示の確認をしてもらっている。

 

そのあとは、雑務が(笑)

だいたいイメージできたかな?

 

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Y) なるほどね。

今の病棟はどんなかんじなんですか?

 

M) さっきも話したように

医師1人と診療看護師2人で

救急の入院病棟を見ていて、

今は2年目の診療看護師が

救急入院をほとんどとっているよ。

 

けっこう忙しくて、

この前は1日に50人もみてた(笑)

ついに病棟1つ分を超えたね。

 

実際は、30人/日前後の時が多いね。

 

Y) それ、よく診療看護師2人でみてますね!

患者層はどんなかんじですか?

 

患者層は、けっこうマルチプロブレムで、

救急外来的な、幅広過ぎる症例だね(笑)

 

軽く思い出すだけで、

骨折した意識障害、肺炎などの発熱、

高齢者の尿路感染症、外傷の心不全など、

専門診療科があまり見ない、

むしろ、どの診療科?っていう症例が多いね。

 

ま、カオスっていったらカオス?

的なかんじだけど、

勉強するには最適な全診療科症例だよね。

 

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Y) それは理想的な症例ですね。

自分も臨床戻りたくて、ウズウズしてきます。

具体的なオーダーはどんな感じなんですか?

 

M) 病棟の基本的なものだね。

検査は採血、放射線、エコー、

薬剤は注射、点滴、内服など。

 

今のオーダー状況が医師のオーダー数と

診療看護師2人が同じくらいで、

経口投薬とかは超えているかな。

 

Y) だいぶ働いてますね(笑)

自分はまったく理解できないのですが、

医師サイドと看護師サイドの両方から、

診療看護師はミニドクターだとか

揶揄されているじゃないですか??

 

そこに関して、何か思いとかありますか?

 

自分的には、むしろ普通の看護師も

ミニドクターと同じようなことできないと

包括的な看護を提供できないと思うのですが。

 

むしろ、看護が本来すべき仕事やレベルを

自分たちの論理で避けている的な。

おっと、しゃべりすぎたー。

 

M) まだまだ新米だから、

Yuitoみたいな深い議論は

まだできないかな(笑)

 

だけど、

まず診療看護師になってみて思ったことが、

「診療看護師こそ、

 意外と看護の本質を捉えている」

のかなってこと。

 

たとえば、今の時代は高齢化や貧困などで

複雑な背景をかかえる症例が多くて、

もはや医療だけでは解決できなくて

医療・看護・福祉すべてをつなぐ役割が必要でしょ。

 

だけど、医師は医学、

看護師は看護、ソーシャルワーカーは福祉と

まだまだバラバラになっていることも多いよね。

 

そういう状況だと

診療看護師だと診断も治療もできるし、

他職種と連携する視点は看護の基本だから

ましては退院後の福祉まで考えるから

一番、包括的に行動できて有効だと思うんだ。

 

だって、

診療看護師だったら入院した時点から、

「退院時には療養型の転院先を紹介しますか」

って先に話できるでしょ。

 

医師に代わって、施設にも電話できて、

先手を打ってソーシャルワーカーと話せる。

 

中からも外からも批判されるけど、

「診療に看護をのせている」

「看護に診療をのせている」

イメージなので、まさに看護そのもので、

非常に効果的で、よいアウトカムが出せる思う。

 

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Y) それです、それ。

「診療に看護をのせている」って、よい表現ですね。

医学に行くから本来あるべきシナジーが見えるし、

逆に看護の視点も具象化できていく。

 

印象に残った症例とかありますか?

この前聞いた、リウマチ熱患者とか印象的でした。

 

M) ああ、あの患者さんね。

(情報は改変しています)

 

まず概要は、既往歴に

# 関節リウマチで生物製剤の投与があり

# また1ヶ月前に交通事故があり

救急外来には、

# 数日前からの発熱・頭痛で来院して

# 発熱精査目的で入院となったんだ。

 

なんせのマルチプロブレムね。

# 関節リウマチ

# 頭部外傷

# 肺 炎

# 発 熱

 

慢性硬膜下血腫もあり

ドレナージでもひけてこないことがあり

少しひやひやしていたね。

 

不明熱の鑑別あげて、

CTよく見たら、細かな肺炎もあり、

だけど、酸素化すぐに良くなって、

さらに発熱して、白血球減少症も伴って。

 

なんなんだ、この複雑な症例は!って。

 

大学院を卒業して数ヶ月の新米診療看護師に

普通は持たせる症例じゃないよね(笑)

 

だけど、そこから多くを学んだよね。

 

結果的には、

白血球減少は生物製剤の影響

肺炎は間質性肺炎の診断で無事に解熱して、

かかりつけフォローとなったよ。

 

つまり、この症例で学んだのは、

専門家がいつも院内にいるので、

困った時にコンサルできる環境があれば、

診療看護師は完璧じゃなくても

システムで安全を保障できるということ。

 

どこにアクセスすべきかを知れば、

安心してオーダーできるし、

最適な医療と安全を提供できるよね。

 

診療看護師は完璧じゃないから

診断とか治療とかを治療すべきでない

という議論があるけれど、

その以上に

診療看護師が安全に医療を提供できる

システムや環境を整えることを

考えることが今は大切だと思うよ。

 

また、遠いところで

しっかりと見守ってくれる医師もいたので、

この複雑な症例を経験できたことは

自分の大きな自信につながったよね。

 

こういうマルチプロブレムな症例って

専門分化した診療科だと、

いろいろとたらい回しになってしまうと思う。

 

だから、診療看護師が中心にいて、

いろんな診療科をフォローして

うまくスムーズにいったケースで、

診療看護師の役割も少し見えたよね。

 

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Y) なるほど。それはいい経験ですね。

あとは、やっぱり、オーダーを出すって

想像を超える責任と知識も必要だし、

やった人にしか、わからないと思いませんか?

一見、簡単にやっているように見えるけど。

 

M) ほんとうにそうだね。

 

研修医でも初めは、

謎なオーダーを出すけれど、

実際に責任持って継続していくから、

たった数年で、すごいくらい伸びるじゃん。

その意味がわかるよね。

 

ひとつのオーダー出すのにも

半端な考えじゃ出せないし、

真剣以上に考えるし、半端ない量の知識が必要。

 

この責任と知識は、

やってみないとわからないかな。

 

だた、逆に実際やってみると、

「意外とできるな」という実感もあるし、

次はもっとうまくできるという経験にもなる。

 

やっぱり、

責任をもってオーダーするってことが、

一番学べるんじゃないかな。

 

Y) 個人的にも同じことを思います。

 

デキる看護師は研修医と同じように

スーパーローテーションまわして、

早いうちからオーダーもさせていけば、

研修医と同じくらい伸びて、

診療と看護の両方をみれる人材が出てきて、

社会的に非常に有益だと思うのですが。

 

ただ、実際には

医学を教えれる人材がいないという

「看護教育の問題」と

看護師免許ではオーダーしてはいけないという

「法律の見えない壁」が

看護のいい人材を壊していると考えています。

 

すいません。

興奮して、またしゃべりすぎました(笑)

 

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M) あはは。さすがだね。

でも的確な意見だと思うよ。

 

そうだね、診療看護師の場合、

バランスをうまく保てるよね。

 

今の医療ってMedicalだけじゃ

解決できない問題ばかりで

PsychologicalやSocialな介入も

トータルで行わないと良い方向に行かないよね。

 

そこをできるのが

診療看護師の役割かなとは思うよね。

 

繰り返しになるけど、 

「診療に看護をのせる」というか。

 

診療も知らないのに、

あまり看護、看護とは語れないよね。

 

ユイトみたいに

医学で医師を越えようと思わないけど(笑)

医療にとっては必要な役職だと思うよ。

 

個人的にも医師と看護師が

ある程度同じことをしても、

共通部分があってもいいと思うしね。

 

Y) あはは(笑)ぼくは過激なので。

最後に何か、診療看護師を目指す若手にひとこと下さい。

 

M) 何度も言うけど、

自分はまだ新米診療看護師だから(笑)

 

そうだね。

 

診療看護師はまだ議論が続き、

これからもいろいろと制度が変わっていくと思うんだよね。

現場もそれでいろいろと混乱しているし。

 

だから、そういう環境の変化に惑わされずに、

しっかりと自分のやりたいことを持っていてほしい。

 

不安定な制度ばかりに目を向けないで、

自分のやりたいことを思い続けてほしいかな。

 

やりたいことは

心に思っていないと続けれられないし、

いろいろな環境変化の中でも

自分のこうしたいという志を

ブレずに持ち続けて欲しいね。

 

実際に、あまりうまく行かなくて、

普通の看護師に戻ってしまった

診療看護師もいるしね。

 

環境も自分で作っていくのが、

先駆的な診療看護師の仕事だと思ってます。

 

Y) なるほど。インタビューうんぬんよりも

ひさびさ話せてよかったです。また日本で。

サンキュー、アニキ!!

 

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診療看護師のインタビューは

どうだったでしょうか?

 

個人的には、M氏の下でなら、

また臨床に戻ってもいいなと思いました。

 

いつもタメ口ですいません(笑)

 

次回は、また

別の診療看護師のインタビューになります。

 

自分が学生のことに比べると

日本もだいぶ変わってきましたね。

 

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