男性助産師
ハワイも夏になり、
ワイキキにも良い波が来るようになり、
サーフィンの季節になってきました。
いつもはPCに向き合って、
がんのデータばかり解析していますが、
最近はボランティアで週に1回、
近くの低所得者向けの母子保健センターで
母子保健の統計支援などをしています。
夏だし、仕事落ち着いたし、
少しコミュニティに戻ってみたら?
との上司の助言があり、Service Learningという
地域に貢献しながら、いろいろ学ぶというスタイルで
試行錯誤しながら、統計の幅を広げています。
統計だけでなく、地域活動もしており、
学校に性教育に行ったり、予防接種したり、
こどもたちと畑を耕したり!?
ひさびさの地域保健活動しています。
学校での性教育では、
アメリカ式スーパーオープンな性教育で、
自分の性に関する経験を
いろいろと質問されて楽しかったです。
また母子保健センターでお世話になっている方が、
ハワイで一番有名なシェイパー(サーフボードの作る人)
の奥さんで、強烈にビックリしました。
旦那に、ボード頼んであげると言われましたが、
お金がねー、高すぎるんですよねー。
そんな、気楽な保健活動です。
大学院時代はHIVが研究テーマだったし、
他にも周産期のトレーニング受けさせられて、
今ではすっかり妊娠合併症マニアになりました。
あっちもこっちも、
自分の想像を超える領域まで勉強できるのが、
疫学なんでも屋さんの魅力ですかね。
小さな母子保健センターなので、
母子保健データを解析するというよりは、
電子カルテからデータベースを作って、
母子保健プロジェクトの評価ができるようにしています。
そのなかで、低所得層はこどもを産んでから
次のこどもを産むまでの期間が非常に短く、
妊娠合併症のリスクとなっており、
出産後の長期避妊について個人的な興味を持っています。
産後の褥婦検診の時に希望があれば、
いろんな助成金で、無料で子宮内避妊器具
(IUD; Intrauterine Device)
を入れて長期間の避妊としています。
低所得だと、毎日ピル飲むのは大変なので、
薬剤が3-5年持続し、避妊にもなり、月経血も少なくなる
薬剤添付IUD(LARC)を選択することが多いですね。
(LARC; Long Acting Reversible Contraception)
子宮内に人工物が入っているのは
少し違和感がある気がするという女性もいます。
YUITOも医療者なんだからと、シュミレーターを使いながら、
PCとつながって、子宮の大きさや向きを変えれて、
練習後に録画されたビデオで振り返れるシュミレーターは、
さすがアメリカ、すごい衝撃を受けました。
実は、アメリカには少数ですが、助産師の中で男性がいて、
(統計上、アメリカ助産師の1%は男性)
医療政策や研究、臨床などけっこう活躍しています。
アメリカの助産師は未だ90%が白人女性なので、
人材の多様性を生み出すために
積極的に男性助産師を教育している機関もあります。
個人的には、まったく助産師になる気がありませんが、
なぜ日本では男性が助産師になれないのかが不思議です。
よくある議論が、
「男性にはお産を取り上げて欲しくない」
と思う妊婦がほとんどだから、
「男性助産師は必要ない」
という議論です。
この議論は非常にナンセンスで、
「助産師 = お産を取り上げるだけの仕事」
という古い概念に囚われた上での議論です。
もちろん、
妊娠・出産がコアな助産の概念に変わりないですが、
STDやHIV教育、LGBTへのケア、MFICU及びNICUでの管理など、
妊娠や分娩以外のReproductive Healthとして
男性である助産師が関わるべき課題は山積みであり、
個人的には男性助産師は日本で必要であり、
良いアウトカムを生み出すと考えています。
つまり、
分娩中心の助産師の概念から、
性を基盤にして、
家族や地域を健康にするという拡張概念に移行すれば、
男性の助産師の役割もかなりあるということです。
特に、男性の不妊なんか非常に需要がありますよね。
助産の人材が多様化されて、
イノベーションが起きやすくなるでしょう。
正常分娩や乳房ケアは女性の助産師に任せて、
または集中治療系(MFICU、NICUの管理)
DVや児童虐待への介入など、
それぞれ違う役割でシナジーすれば、
いいのではないでしょうか?
性差を批判していた助産が、
男性助産師否定という性差を
生み出さないように願っています。
ちなみに、アメリカでは、
男性助産師は、かなりいいケアをして、
拒否されることもほとんどないという研究があります。
(日本の世間の予想に反して!!)
男性でも女性でも誠実に向き合ってくれるかという
個人の人間性の差の方がよほど大きく、
助産師に関して男性、女性の性差を議論することは、
非常に稀であったという報告も印象的でした。
岡田も救急外来で、
偶然、妊娠判明した人にエコーとってあげて、
栄養とか妊娠期の生活指導してましたけどね。
男同士の約束として、
旦那に禁煙宣言もさせましたけど(笑)
女性のみしか助産師になれないのは、
違憲にならないのですかね。
なぜ日本では、男性助産師は認めれないのか、
ぜひとも誰かに教えて頂きたいです。