フィリピン1
国内出張シリーズに対する
たくさんのメールありがとうございました。
好評を頂けて光栄です。
仕事が落ち着き次第、
順次返信させて頂きます。
「国際編」を
早く書いてほしいとの要望が多く、
出国まであと24時間ですが、
書けるところまで書いてみます。
ここ数ヶ月は、シリアとエジプトの関係で、
中東と日本を2-3週間毎に行き来する生活をしており、
やや多忙となっております。
アジアとアフリカでも仕事があるので、
具体的には、今年は年間16回出国予定で、
年間フライトも国際線国内線合わせて100回を超える
意味不明なワークスタイルとなっております。
拠点としている海外に住んだ方がよっぽど楽ですが、
やはり日本の看護と医療をどうにかしたいと思い
日本を拠点とする現在の生活を維持しています。
日本にいるときは、
全国の大学や看護学校で講義をしたり、
各種打ち合わせをしたりしています。
最近は学生や取引先から
「ブログ見ましたよ。」と言われ、
やや恥ずかしい気持ちになることが多いです。
今回は、6月くらい?に行った
「フィリピン」での仕事を
書いてみたいと思います。
この記事を読んで、
・世界で働くとはこういうことなんだ
・こういう自由な働き方もあるんだ
と刺激を受けて頂いて、
「さっさとYUITOを超えてやる!」という
熱い人材が出てくることを期待しています。
自分自身の会社は
海外から仕事をもらうことがほとんどで、
自分自身の専門は
看護ではなく公衆衛生の「疫学」であり、
「特に紛争値や僻地などの
データがとりにくいところで、
量と質を合わせたMix Methodsによって得た
科学的かつ包括的なデータを解析し、
現場に還元しうる形で
健康に関する事実を明らかにして
その地域に貢献する」
ということを日々行っています。
「これができる日本人はお前しかいない」
と言われるし、自分でもそう思います。
日本代表として仕事をもらっているし、
日本代表の名前にふさわしい
アウトカムを常に出すようにしています。
今年の初めくらいに
フィリピン政府から連絡があり、
保健医療制度改革(Health Sector & System Reform)
を行うにあたり、
フィリピン大学と協働して、
フィリピンの医療の現状に関する
基礎データを収集してほしいという依頼がありました。
具体的には、
世界銀行(World Bank)がリーダーとなり
貧困層が多いフィリピンにおいて、
誰でも加入できる格安なフィリピン政府の国民医療保険制度
PhiHEALTH
Philippine Health Insurance Corporation
を拡張することが最終目的とのことでした。
世界銀行(以下、世銀)から計画と予算が出て、
まずは基礎データ収集ということで、
1番の国立フィリピン大学に話が行き、
僻地のデータ収集の質が担保できないとのことから
友人を通して、こちらへ協力の依頼が来ました。
こちらもビジネスですので、
世銀と予算及びアウトカムについて話し、
ビジネスとしてはあまりおいしくないですが、
看護人材の側面から個人的に
フィリピンに興味があったので契約となりました。
フィリピンは台湾の先にある
成田から5時間程度の熱帯の国です。
人口は、9000万人程度、
一人あたりのGDPは$3500程度と
日本の約10分の1であり、
経済的に貧困から抜け出せない国
として知られています。
ただ英語がアジアで一番できるので、
アメリカで働くフィリピン人看護師は多く、
「出稼ぎをして本国に送金する」
という外資の稼ぎ方が特徴的となっています。
OPW (Oversea Pilipino Workers)として
約1000万人が出稼ぎしているという
スゲー国なわけです。
看護師としてアメリカで働くと
給料が100倍になるらしいです!
(そりゃ、行くわ!)
そして、7000個の有人島があり、
貧困、人材流出、離島と
医療システムに大きな
脆弱性(Vulnerability)があります。
今回は、4週間程度の滞在予定で、
韓国の保健省からのインターンを受け入れて、
韓国経由でマニラ(フィリピン首都)に向かいます。
自分はまったくの貧乏性なので、
飛行機はエコノミークラスと安くて汚い宿が大好きです。
(それでも超幸せいっぱいです。)
大手企業やコンサルからの仕事だと予算も多く、
ビジネスクラスや高級ホテルを使うことが多いです。
中東系の仕事は、
ていねいにファーストクラスで呼んでくれることもあります。
世銀の予算はフライト8時間を超えないと
ビジネスクラスを使えない規定があるので、
今回はエコノミークラスでフライトとなります。
# 成田 → 仁川(インチョン:韓国) 2時間
# 仁川 → マニラ 4.5時間
の短距離フライトで、
1300に成田発、2300にマニラ着です。
CAの対応は良いし、TVも機材も満足で、
特に機内食のビビンバはマジでオススメで
ぜひ乗った際は一度お試し下さい。
その前の週も韓国だったので、
さすがに今回は普通の機内食としました。
仁川空港で乗り換えまでの1時間半を
散歩して、シャワーを浴びてつぶします。
仁川空港は、免税店もしっかりしており、
シャワー無料だし、ケニアにも直行便出ているし、
本当にすごいなとつくづく思います。
世界で仕事していると
韓国の勢いに完全に日本が負けている気がします。
アジアのラジオでもK-POPばっかりだし、
スマホや家電はSUMSUNGばっかりだし、
日本はいつまで過去の栄光にしがみつき、
現実を見ないのでしょうか?
金はばらまくし、政治的な圧力をかけるし、
韓国のビジネスのやり方は大嫌いですが、
「現地で必死になって営業と工夫を重ねる姿勢」
は本当にものすごいものがあります。
「韓国」という狭い
国内マーケットしか持たなかった故に
生き延びる術として、
早い段階からアジア全体を見渡して製品を作り、
各国の現場に出て行った戦略が功を奏したのでしょう。
自分自身も医療で韓国と戦うことが多いですが、
もちろん全勝しており、今でもあまり相手にしていません。
(ただ、えげつないくらい本気になります)
これだけ飛行機に乗ると
最新の映画には詳しくなります。
映画に疲れるとPCを使って
書類を作ったり、資料をまとめたりしています。
BOSEのヘッドホンと
BURTON特注の機内専用パーカーを装備し、
機内を快適なオフィスに変身させています。
なんだかんだしているうちに
マニラに到着です。
発展途上国で一番嫌なのは、
「税関と移民局」でしょう。
今ではマシになったものの、
10年前のアフリカとかアジアでは、
入国する際に普通にお金をせびられたり、
荷物から勝手に物を取られたり、
入国自体がものすごいストレスでした。
税関の仕事の遅さはすさまじく、
こちらは非常になれているので、
ササーとすいている列に割り込み、
今回は20分くらいで終了です。
普通にまったり並んでいると
入国に60分以上かかり、
外に出たときには自分のカバンがない
というパターンさえあります。
国際保健では、
明晰な頭脳よりも大切なものだと思っています。
フィリピンのクオリティーは
マジでひどく、荷物の受け取りも
ごちゃごちゃのこんなかんじです。
荷物がロストしなくて良かったと思い、
危ないマニラで深夜移動なので、
さっさとタクシーでホテルへ向かいます。
観光タクシーでは料金吹っ掛けられるので、
現地タクシー乗り場に直行して、
ものすごい剣幕で値引き交渉して、
現地価格でホテルまで格安移動です。
「こういうスキルを身につけろ!」
と韓国人インターンにも説教して、
カルチャーショックでフリーズしていました。
国際保健では、
いのちに関わり本当に大切なのです。
夜のマニラでは、タクシーに乗った日本人に
数万円の料金を請求する、
暗いところで止まって金を全部巻き上げる
などの犯罪は日常茶飯事です。
なめられたら負けなので、
値引き交渉というより
「こいつは襲えない」
と思わせることが大切なのです。
個人的には
そういう危ないところが大好きなのですが。
次の日の午前中にまたフライトがあり、
この日は空港近くで
トランジット(乗り継ぎ)のための宿泊でした。
あらかじめ予約していた
1500円くらいの安宿でしたが、
予想以上にキレイでビックリ!
エアコンついているし、
水回りキレイだし、
なんとホットシャワーじゃないですか。
今回は、4週間と長い滞在になるので、
RIMOWAのでかい方を持ってきています。
個人的には「パパリモワ」と呼んでいて、
大きくてなんでも入るし、
アルミなのでナイフで切られても大丈夫で、
危ないところではこれ以外考えられないですね。
番号ロックが金庫代わりになるという優れもので、
掃除で入ったついでにパスポートとお金を盗まれることも
発展途上国ではごく当たり前に起こります。
ただ、アフリカや紛争地など、
コロコロがひけずに、歩いて移動が多い場合は、
大きなバックパック(リュック)を使用しています。
水道水はもちろん飲めないので、
韓国人インターンに水の買い方から
常に水を持っておく大切さを伝えて、
ホテル全体が襲われた時の
Evacuate Point(脱出時の集合場所と連絡方法)
を確認して寝ます。
ここで襲われる確率はほぼゼロですが、
紛争地で仕事する場合は、
Evacuate Plan(脱出計画)を
常に意識する必要があり、
そのクセをつけるためのトレーニングでした。
3秒で寝るという特技を生かし、
幸せにひたりながら爆睡しました。
ちなみに、韓国人インターンは
あまり寝れなかったということでしたが。
まだまだ書けるところまで書いていきます。
途中で切れたら、
中東の紛争地に戻ったんだなと思って下さい。
その際は
また帰って来た時に再会しますので、
少々お待ち下さい。