NEW NURSING

ハワイの疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

リバース・イノベーション

20年後の医療の中心はどこでしょうか?


日本    → 違います。

アメリカ  → それは今現在です。

新興国   → 正解!!


YUITOは主にアフリカと中東で

仕事していますが、それは決して

「国際協力」

のために行っているのはなく、

まさに逆転の発想で、

「新しい視点を教えてもらう」

ためにそこで仕事をもらっているのです。


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世間のイメージとは大きく異なり、

アフリカや中東の医療は

ものすごく効率的で高度です。


アフリカの大学では

多国籍で様々な領域の学生が

英語で地域医療の本質を熱く議論し、

教授陣も日本の教授の数倍くらい

英語で論文を出しています。


また上級看護師による帝王切開は、

あまりにも無駄がなく洗練され、

いつも付いていくのがやっとです。


バイICUでのABCDEバンドルの遵守率は

ほぼ100%で、VAPの発生はほぼ0であり、

ICUナースが常に中心となって、

集中治療管理も含めたICUの質の管理をしています。

(日本のICU平均の数倍上でしょう。)


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そう、世界は今着実に変わっており、

新興国の医療が主流となりつつあるのです。


今までは課題ばかりだと思われていた新興国

問題を解決する努力の末に、

新しく革命的なイノベーションを生み出し、

それが世界全体を大きく変えているのです。


つまり、知識やイノベーションの流れが

# 先進国 → 新興国

から

# 新興国 → 先進国

へと逆転してきたのです。


これを

「リバース・イノベーション

と呼びます。


最近は名著が日本語訳されました。

まさに自分がしている仕事はこれになります!


個人的にはBOPビジネスと同じレベルの

新概念であり、必読書だと考えています。


リバース・イノベーション

リバース・イノベーション


この本の中にも2つの医療における

リバース・イノベーションが取り上げられています。


例えば、大手メーカーのGEは

中国の僻地のために、

「機能が最小限で、

 画像が荒くても携帯できる格安エコー」

というイノベーションを生み出し、

中国で多くの人を救ったことはもちろん、

先進国の病棟でもポータブルエコーとして使われ、

日本の訪問診療でも活躍しており、

世界中の人々の命を救った

新興国発のイノベーションとなっています。


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またインドでは、

白内障を効率的に治療するために、

ビジョンを明確にした上で、

医療の効率化を行い、アメリカと比べて、

治療費は10分の1以下、

ひとりの医師の手術件数は5倍以上、

合併症の発生率は3分の1以下という

驚異的なイノベーションが起きて、

今では世界的な眼科治療研究所となっています。


これはこの本に詳しく、

同じ医療を生業とする人間として

学ぶ事が多く、本当にオススメです。



そう、現代医療のイノベーション

今まさしく、新興国で起きているのです。


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心臓外科で同じようなイノベーション

起きているインドの病院では、

ICUナースはCABG術後6時間以内に

患者を歩かせるそうです。


本当に

自分が創造もできない世界があるものです。


今、日本は医療も含めて、

クレイトン・クリステンセン教授が指摘する

「小手先の小さなカイゼンばかりを追い求め、

 大きな革命的な変化を起こせない」

イノベーションのジレンマに陥っています。



YUITOがアフリカや中東で仕事するのも、

自分の技術や知識を世界レベルで客観視し、

革命的な世界のイノベーションを体験するためなのです。


最高の教師は新興国なのです。


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課題が多いことを嘆くのではなく、

視点をリバースして、

「解決するチャンスがたくさんあるのだ!」

と考えることが、

次のイノベーションを生み出す環境を作ります。


ヒト、モノ、カネがないところこそ、

次のイノベーションが起きる可能性が高く、

次世代のリーダーとなっていくのです。


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これを日本国内に当てはめると

今までの

# 東京 → 地方

# 研究 → 臨床

という流れでなく、

# 地方 → 東京

# 臨床 → 研究

というリバース・イノベーション

起きることは時間の問題でしょう。


つまり、今、地方の病院や地域で、

何もないと嘆きながら、忙しく働いている

現場にいる「あなた」こそが

次のイノベーションを起こし、

日本をそして、世界をリードしていく人材なのです!


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先日、最も尊敬する同年代の研究者も

教授陣が頭で考えるだけで、

イノベーションが起きると思っており、

まったく行動化しないと嘆いていました。


イノベーションは考えているだけでは起きずに、

その行動がイノベーションとなるのです。


イノベーションを生み出す

コンピテンシーや環境はこの本に詳しく、

ビジネス領域のデキル人はみな呼んでおり、

よく会議でもこの話題となります。



これから世界は、

さらに速いスピードで大きく変化していきます。


そのなかで、

みなさんは何を軸に自己研鑽していきますか?


日本    → 違います。(そうなって欲しいですが)

アメリカ  → それは今現在です。

新興国   → 正解!!


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最後に、

インドにおける有名な疫学研究を

お伝えしたいと思います。


インドでは先進国の約5倍以上、

統合失調症が治るという有名なデータがあります。


日本では統合失調症になれば、

病院へと隔離された後に薬浸けにされ、

生活する能力すら奪われて、

刺激が少なくなり

さらに長期の薬剤管理により

脳が固定化し、

なかなか統合失調症が治癒しません。


しかし、インドでは逆に

統合失調症により幻聴が聞こえれば、

「神の声が聞こえた」ことになり、

人々がその人を崇め、

地域の人が集まり、食事を差し出し、

その人は地域のリーダーとなります。


この様々な支援から生活力が上がり、

脳がその可糊性を発揮して、

脳が自由に自分で自分自身を治癒させ、

統合失調症が自然に治癒するのです。


まさに地域の文化が

イノベーションとなっており、

新興国の方から学ぶ事が多い例でした。


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まだ企画段階ですが、

夏以降、状況が落ち着けば、

アフリカを中心として、

YUITOの仕事や現地での医療見学を行う

インターンを開始する予定です。


意見お待ちしております。


INNOVATIVE

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