自殺
国際保健の領域では、
2000年に設定された
という2015までの世界の目標があります。
具体的な内容は以下のとおりです。
1 極度の貧困と飢餓の撲滅
2 初等教育の完全普及の達成
3 ジェンダーの平等推進と女性の地位向上
4 乳幼児死亡率の削減
5 妊産婦の健康の改善
7 環境の持続可能性確保
8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
看護的な視点を活かせば、
# 障害からの経済的自立(ゴール1)や
# 学校保健におけるchildren to community(ゴール2)
このMDGsの8ゴールすべてに貢献できます。
大学生のころに、このMDGsを考察し、
「疾患」だけでなく「生活」も考える看護の視点が
国際保健で非常に大きなインパクトを持つこと
を知り得たことが今の自信につながっています。
ただ、もうすぐ2015年であり、
次のpost-MDGsが盛んに議論されています。
今回のpost-MDGsは特に
先進国の課題も中心になると言われ、
「不安定な経済状況」なども入るかもしれません。
先進国の健康問題としては、
# 高齢化 (Aging Community)
# 生活習慣病(Non Communicable Disease)
が大きな課題となっているので、
どのような視点で盛り込むかが焦点です。
ただ、個人的にはやはり
# 精神保健(Mental health)
がpost-MDGsに入り、
世界中の市民を啓蒙することを願っています。
特にこの国「日本」では、
毎年約3万人の人が自殺し、
公衆衛生的にも「超異常な状態」となっています。
国際的な会議に行けば、
すぐに他の国の公衆衛生研究者から
「日本の自殺はどうなっているんだ。
もっと早く強く介入しろ!(結核もね。)」
と叱咤されます。
残された家族など悲しむ人が多くおり、
「日本の文化です。」
とも言えない状況になっています。
1日に換算すると
毎日約80人自殺しているわけです。
80人乗りの小型飛行機が落ちたら、
2週間以上メディアで話題になるにも関わらず、
この事実はなかなか議論されません。
「自己責任だろ。」
「弱かったんだろ。」
「汚れは議論しない。」
など様々なことが言われそうです。
ただ、自殺は決して個人のせいでなく、
「社会の歪み」や「社会資源のアクセス不足」が
本当に純粋な一部の人を追い込んでおり、
ぼくたちはある意味、
その追い込みの「共犯」になっていることに
気がつかなければなりません。
特に高齢者の自殺には心が痛みます。
社会的な介入に関しては、
認知行動療法(Cognitive Behavioural Therapy)
などエビデンスがやや微妙ですが、
ある程度の仮説の状態で良いので、
「介入するしかない!」状況となっています。
特に精神科看護師に
もっと地域に出てきて欲しいし、
将来的には精神科NP看護師による
カウンセリングや生活相談を含めた
簡単な外来を開いてほしいと考えています。
(スクリーニングして重症感があれば、
精神科医に紹介すれば良いのです。)
だいぶ前に、仕事しすぎて不眠になったので、
「早めに精神科にスクリーニングしてもらおうかな」
と思って電話をかけて見ると
なんと1ヶ月以上待ちの精神科が多く、
(特に初診は受付したくないらしい)
10件も電話をかけなければならなかったのです。
これじゃ、本当につらい時に
適切な医療が受けられないですよね。
病院の外の「地域」に対する
精神科の1次予防が看護師の手によって
もっと行われることを期待しています。
日本も世界も
もはや健康は「病院の中」じゃ解決できないのです。
これから
「地域介入(Community Intervention)」の時代です。
In the middle of Community