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NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

医療における失敗の文化

みなさんは臨床現場で

何か失敗したことはありますか?


もちろん、

失敗したことがない人はいないですよね。


自分自身も使えない人材だったので、


「かなりの出血性ショックの交通外傷で、

 Vラインではなく、間違えてAラインを取った。」

(むしろスゴイ技術!)


程度のミスは日常茶飯事で、


「救急外来の忙しい中に口頭指示で

 慌てて違う薬剤を投与した。」

(患者さんにはあまり影響かったですが!)


「患者を間違えて、

 経管栄養を隣通しで交換して落とした。」

(だいぶ成分が違ってました!)


「救急で運ばれてきたチンピラ患者と

 胸ぐらをつかみ合って、ほぼケンカとなり、

 他のスタッフと警備員にチンピラではなく、

 自分が押さえられて羽交い締めにされた。」

(自分が一番不穏でしたね!警備室に隔離されました!)


などキリがないくらいミスをしてきました。


ただ、いつも思うのが、

ミスをして根本的な原因を探って再発を防ぐというよりは、

(現在はRCA= Root Cause Analysis=根本原因分析法が主流)


「あんたの注意が足りなかったのよ。」


と自分の能力のせいにされるか


「忙しかったからしょうがないわね。」


と状況のせいにして慰めるかのどちらかでした。


しかし、

「ミスをするのが人間」であり、

「ミスから学んでシステムをカイゼン」するという

スタンスにならない限り、

本当の意味で安全な医療は構築されません。


医療におけるミスや失敗は

個人の責任ではなく、システムのせいなのです。


医療と関わる上で、

自分はこれからも失敗を続けて行くでしょう。


そう、

失敗と付き合って行くことしか

ほかに道はないのです。


では、どうしたら失敗とうまく付き合っていけるのか?


それは失敗から学び、

人と失敗を共有して、

さらにいいシステムを構築していく方法しかないのです。


ただ、やはりそこには

「失敗は完全に否定され、個人の問題と捉えられ、

 失敗する人としない人に分けられる」

という医療独特の失敗に対する文化があります。


そこでTEDから有名なスピーチを見てほしいと思います。


人間である医療者として

いかに失敗と向き合って、

我々が支配されているシステムを変えて、

人間味のあるシステムにしていくのか。


本当に感動するスピーチです。

NPの話も出てきます。


終了時には観客も興奮のあまり

総立ちで惜しみのない拍手を送り続けています。


英語版はこちら

D


日本語字幕はこちら

クリックするとHPに飛び、

日本語字幕が付いた映像が始まります。

ブライアン・ゴールドマン: 医師も失敗する。そのことを語ってもよいだろうか? | TED Talk | TED.com


どうでしたか?

こころから感動しますよね。


「医療の文化を再定義しないといけない」

(Redefining Medical Culture)


医療者は

「つねに完璧であれ、些細な事にも注意して、

 徹底的に努力して、決して過ちを犯すな」

という価値観をその文化に強制される。


人間が作り上げたはずのシステムを

いつのまにか医療という文化が乗っ取り

人々に価値観を強制して、

逆説的にシステムが人間を支配して、

医療者と患者をともに苦しめているのです。


まさに村上春樹の文脈です。


だからこそ、

自分たちの手でシステムに立ち向かって

システムを人間のもとに戻さなければなりません。


失敗した人こそが

システムを人間のもとに戻す指揮官となるのです。


きっと失敗した人は、もっと語りたいし

その語りと共有がその人にとっての

一番いいケアになると信じています。


自分も救急外来で患者を帰宅させて、

数時間後に重症化して救急に戻ってくる状況を

何回も経験して

" Do you remember ?"

「YUITO、あの人覚えている?」

と言われました。


なんとも言えない気持ちになります。


だけど、自分も同じように

" I do remember"

「しっかり覚えているよ。」

と失敗を語り、共有して

本当の意味で人々のために

医療の文化を再定義していきたいと思います。


本当にいいスピーチでした!


ちなみに医療安全はこの本がベストです。

たぶん10年後も読み続けられています。


FOR THE PATIENT SAFETY !

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