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NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

NP・CNSの本3

長いですが、引き続き書きます。


この記事から見た方は、

「NP・CNSの本1」から順に読んで下さい。


5) 臨床家として


前置きが長くなりましたが、

実際の臨床の場で役に立つ本を紹介したいと思います。


NP・CNSや大学院を修了した看護師はやはり

・患者の症状からスタートして、

・身体所見を加えて、

・臨床仮説(鑑別診断)を挙げて、

・必要な検査をオーダーかつ実施し

・データを統合して解釈して診断をつけて

・薬などを使って積極的に介入して

・状態をマネジメントできる能力

が必須だと思います。


つまり専門医の臨床レベルまでは必要ないですが、

Generalist もしくは Primary care provider として、

自分で疾患の仮説を立てて、検査で仮説を検証して、

必要な専門医にコンサルしていく一般臨床レベルは

患者のケアスピード向上のために必要だと思います。


古い看護の人は「ミニドクター」だといいますが、

そんな愚かな看護のシーラカンスは一切無視して下さい。


患者の前では免許は関係なく、

状況を一番的確にマネジメントできる者が

事実として優秀であり、医療者の定義なのです。


ぼくは看護師である前に「医療者」です。


現在の看護教育では、

症状から鑑別診断(診断仮説)をあげて、

それを検証しにいくという思考がまったく強化されないので、

その能力を大学院で最もつける必要があると思います。


イメージとしては、

「突然の胸痛→ただ医師にコール」ではなく、

「突然胸痛

 →鑑別診断(AMI、解離、気胸、AMGL、GARD等)

 →身体所見(バイタル、触診、聴診、問診)

  状況マネジメント(ルート確保、採血、ファーラー位)

  検査(血ガス、CBC、生化学、心酵素、12誘導、XP、心エコー)

 →診断(AMIにてニトログリセリン開始)

 →専門医コール(鑑別と診断、状況を伝える)」

くらいの展開ができる能力をつける必要があると思います。


特に主訴や症状から、ありうるであろう鑑別診断(診断仮説)

をあげていくところが思考トレーニングが必要だと思います。


YUITOもERでは患者の問診から鑑別疾患をまず10個あげて、

次にどう検査をすすめるか戦略を立てて展開します。


はじめは大変ですが、なれてくるとスムーズになります。


症状からどう鑑別診断をあげるかは

「考える技術」

が最もいい思考トレーニングになります。


臨床仮説とは何か、次に何を問診するか

理論から各論の症状からのアプローチまで

本当に本当に勉強になります。


これを読まないNP・CNSは信じれません。

もっとも基礎となる本です。




また個人的には

鑑別診断から除外診断や確定診断を展開する方法や

その抽象的な理論を

ティアニー先生の「臨床入門」「臨床入門」

から学びました。


非常に薄い本ですが、「鑑別」と「診断」の理論が

もっともシンプルに学べて、何十回と熟読しました。


本の内容を抽象化して自分で理論を読み取り、

自分なりの鑑別と診断の展開方法をフレームワークとして

確立すると臨床診断が楽になります。



ティアニー先生の臨床入門

ティアニー先生の臨床入門


この3冊を読まないと「診断」について

医師と基本的な会話ができないと思います。


必須の3冊でした。


また基礎医学ですが、

特に「解剖学と薬理学」を常に学習する必要がある

と思います。


解剖学はXPやCT、身体所見の際も重要であり、

常に横に解剖学書を置いて、振り返ることが大切です。


個人的は

「グレイ解剖学アトラス」

が見やすくて好きです。


グレイ解剖学アトラス

グレイ解剖学アトラス


薬理学は昔、あまり良い本がなく

洋書で学習していました。


開いてみたことはないですが、

「イラストレッド薬理学」

として、最近その本が日本語訳されていました。


AGONIST(作用薬)とANTAGONIST(拮抗薬)

の2軸でシンプルに展開されており、自分には合っていました。



商品名から展開する場合には

「今日の治療薬」

を1ページずつ読んで行くと、理論を書いたページがあり、

また作用ごとにまとまっているので勉強になりました。


薬の種類って意外と少ないんだと思い、

勉強する気が湧いてきます。


今日の治療薬2012

今日の治療薬2012


まだまだ基礎医学は領域がありますが、

とりあえずの良書はここまでにしときます。


さらに「検査」の理解も重要で様々ありますが、

特に「Physical Examination(身体所見)」と「Sonography(エコー)」

の2つを強化するとだいぶ世界が変わってきます。


何度も何度も書いていますが、

「ベイツ診察法」

に触診、打診、聴診、神経所見等すべて書いてあります。


この本は看護師すべてに必須だと思いますが、

なかなか知られていません。


大学院時代は同級生と男2人で裸になりながら、

とんとん打診をしたり、ステートを当てまくって、

Physical Examを勉強してました。


なぜ日本の看護教育ではベイツを読ませないのか

本当に不思議です。


ベイツ診察法

ベイツ診察法


もちろん、エコーも当てまくることが大切です。


YUITOはえじきがいないときには

自分にずっと当ててまでも練習していました。(笑)


細かい測定は技師さんや専門医に任せてますが、

ざっくりと使えるといい症状マネジメントができます。


完全に自分の好みですが、参考までに紹介します。


まず心エコーですが、

「スタートアップ心エコーマニュアル」

が入門から実際の難しい症例まで

ずっと活躍してくれています。


考えながら、エコーで見に行くという思考まで勉強できます。


スタートアップ・心エコーマニュアル―考える心エコー実践のために

スタートアップ・心エコーマニュアル―考える心エコー実践のために


腹部エコーは臓器が多く、

ルーティーンと写し方を繰り返し勉強したかったので、

「いまさら聞けない腹部エコーの基礎」

についているDVDを見て何回も練習してました。



上記のエコー本2冊は完全に個人的な好みなので、

書店の医学コーナーで自分にあったものを吟味して下さいね。


最後に症状マネジメントとして、実際の治療をどうするかという

シンプルにまとまっていてポケットにいれておける

コンパクト本2冊を紹介します。


たとえば、吐血であれば、

どんな検査をして、何の薬を使用して、

どのような戦略で状態を安定させるのか。


そんな症状や診断からのマネジメントが

シンプルに書かれており、昔からポケットに入り、

今でも臨床の手元に置いておくのが、

「内科レジデントマニュアル」

です。


一番シンプルかつコンパクトで、

何をしなければならないか、

根拠は自分で勉強する必要がありますが、

具体的な薬の量まで記載されており実践的です。


これがあれば

基本的なマネジメントはできるようになります。


NP・CNS実習の際のポケットに最適です。



個人的にはさらにコンパクトで救急がメインとなる

「当直医マニュアル」

も反対側のポケットにいれて愛用しています。


救急的な思考(除外すべき診断仮説)や小児まで

フォローされており、書き込みながら使用しています。


まずは内科レジマニュアルだと思いますが、

さらに興味がある人にはオススメです。


当直医マニュアル〈2012〉

当直医マニュアル〈2012〉


以上が臨床の基本となる名著たちです。

一番大切な部分だけを書いてみました。


また何か知りたい臨床の名著があれば、

気軽に連絡頂ければ、改めて書いてきます。


6) 看護学として


NP・CNSや大学院を修了した看護師は

医師と何が違うのでしょうか。


実際には表面に出てくる行動としては、

CVを入れたり、ガスを取ったり、投薬したり、

医師と変わらず、シェアする行為も多いでしょう。


ただ、診断は同じでも展開の部分で、

看護的な視点が非常に大きな意味を持ち、

画像や身体所見などの医師と同じものをみても

違うアセスメントやプランが出てくる根拠となるのです。


同じ心不全のXPのバタフライをみても

医師は「さらに利尿剤を行こうかな」と考え、

上級実践看護師は

「さらにベッドアップが必要であり、

 呼吸苦に対する強いプランが必要だな。

 エコーで心機能と水分量も評価しよう。」

と考え、お互いの視点を議論して、

患者に最も良い医療を提供するのです。


「看護とは技術ではなく、その視点と思考にある。」

とYUITOはいつも思っています。


上級実践になればなるほど、

看護としての視点と思考を常に意識化して

チームとして最高の医療を提供するバランス状態に

舵を切るリーダーシップが不可欠なのです。


看護は一体何なのか。

今のところ、

日本ではその答えを明確に答えてくれる人はいません。


そして、日本における看護の概念が古くて、

看護、看護と非常に窮屈な思考に陥っています。


看護の過去を知って、自由に新しい看護を定義して、

臨床の現場や研究で表現してみて下さい。


YUITOも負けずに世界で表現していきます。


看護理論の歴史を学ぶのは

「看護理論家とその業績」

が国際的にも定評があり、日本語訳になっています。


大事なのは、それぞれの理論を鵜呑みにせずに、

批判的に吟味して、次の看護理論はこうあるべきと

思考し考察することにあります。


看護の先生になんと言われようと

徹底的に理論を否定して代替案を提示して下さい。



またクラシックで偏りがありますが、

日本初の看護理論で名著である

「科学的看護論」

を味わってみて下さい。


やはり薄井先生は天才ですが、

これを上回る日本発の看護大理論が今必要です。


本当にいい言葉がならんでいます。

ぼくの大学時代の原点です。


科学的看護論

科学的看護論


また看護系大学院を修了するために

どのような能力をつける必要があるのか

しっかりまとまった本もありますので、

参考までに紹介しておきます。


臨床家や研究者として

大学院でどのような能力(コンピテンシー

を身につける必要があるのかという到達目標が

ひとつひとつ列挙されています。


「看護大学・大学院の到達目標」



買う必要はないと思いますが、

図書館で眼を通すと大学院の目標が

clearになると思います。


長々すぎますが、3回に分けて、

NP・CNS・看護系大学院で読むべき良書を書いてみました。


大学院でのストレスはハンパなく、

特に井部俊子という看護マネジメントの権化の前で

看護マネジメントについてプレゼンする数日前には

血便が出るくらい大変でしたが(笑)。


根拠のない自信と大きな夢、

人生で一番大切な同級生のおかげで

無事に終えることができました。


同じ志を持った人と議論できるのが

最も知的に満足できた思い出です。


非常に孤独な戦いですが、

大学院に入ったからには是非実りある期間にして

なんとか修了して下さい。


きっと見える景色がガラッと変わると思います。


孤独でつらくなったら、

ビジョナリーピープル

を読んで下さい。


偉人たちも非常に孤独で

根拠のない自信と大きな夢と仲間に支えられて

継続できたから成功できたことがわかり、

自信がもらえます。



自分も読むだびに赤鉛筆の線が増えて行きます。


ぜひ一緒に日本の看護を根底から変えて行きましょう!!

すべては市民のためです!!


看護で世界を変える!

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