NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

NP・CNSの本2

引き続き書いていきたいと思います。


3) 基礎的ビジネス能力として


看護系の大学院に進むと

ひたすら看護系の書籍ばかり読まされますが、

上級ビジネス本の方が、

論理展開や問題解決方法の提示方法が

非常に具体的でわかりやすいです。


特に看護の人は基本的な4大ビジネススキルに

(企画・文章・問題解決・プレゼン)

弱いので、これらをしっかり鍛える必要があります。


看護という行為が非常に複雑な認知と行動を伴っているために

それを論理的に言語化するのはとても難しく、

看護師は自分で何をしているのかを言語化して記述し

社会に対して提示していく高度な記述能力がより強く求められます。


なので、記述と思考は同じ作業であり、

「考えて書くのではなく、

 書きながら考えをまとめていく」

作業が、その行為を言語化する核となります。


「考えている」と「記述できる」の能力の差はとても大きく

「考えており、言えるけど、記述できない」は

何も考えていないのと同じと見なされる厳しい社会です。


自分の思考やアセスメント、看護展開を

他領域の医療者でも理解可能なカタチで提示するための

基本的な文章と記述に関する原則・方法が書かれている本が、

「入門 考える技術・書く技術」

という名著をシンプルにした最近出版された良書です。


入門 考える技術・書く技術

入門 考える技術・書く技術


最初に結論を述べて、次に要点を提示して、

同じレベルで具体的な根拠を提示して行くピラミッド法を

初心者でもわかりやすく具体的な例を用いて解説しています。


シンプルでコンパクトであり、

レポート作成の時にはいつも横に置いておきたい本です。


YUITOの時代は入門書がなく、

原著であるバーバラミントの「考える技術・書く技術」

を何度も読み返し、文章を書く前に図を書いていました。


これに勝る記述の本はないです。

だたやや難解なので、入門編で十分だと思います。



また看護が「問題解決」であることは

疑う余地はないでしょう。


患者に起きている身体的・精神的・社会的な現象を

包括的にアセスメントして、様々なデータを統合して、

一番良い問題解決方法=看護計画を提示していくという

知的な作業が、まさに看護なのです。


問題解決方法はひとつではなく、

最も論理的に納得でき、実行可能なプランが

議論の末に採用され、実行されます。


その問題解決の方法はビジネスの世界では

理論として確立されており、

YUITOとしてもケアする場合もやビジネスする場合も

基本的な展開方法はこの原則通りで一緒です。


その問題解決方法を非常に非常に

わかりやすく提示した名著が

渡辺健介の「世界一わかりやすい問題解決の授業」です。



世界で一番と言われているコンサルも

実際には確立された原則に基づき

着実に問題解決していることがわかり、

看護がいかに論理的に展開する能力が欠けているが理解できます。


この本を読んで、

理論的な問題解決の方法をさらに深く学びたいなら、

「問題解決プロフェッショナル(思考と技術)」

がオススメです。


問題をどう捉えて、論理的に分解して

もれなく考えて、戦略を立てて解決していくかが

理論的に記述されています。


新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術

新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術


さらに超上級者にはこちらです。

数学の名著である

G,ポリアの「いかにして問題を解くか」です。


いかにして問題をとくか

いかにして問題をとくか


エリートビジネスマン、グーグルなどのTOP CREATERなど

世の中の上級者すべてが読んでいる本で、

問題解決の本質と概念、思考が数学を用いて理解でき、

自分もいきづまった時にはこの本に戻り、

何か違う思考がないかと考察を巡らせています。


看護の人はなぜかビジネスが大嫌いですが、

看護も結局仕事であり、ビジネスなのです。


ビジネスとして基本的な記述と問題解決の能力を

大学院の機会を利用して身につける事は

看護師として、一生の助けになると思います。


4) 研究者として


看護という思考と行動が絡み合った営みは

非常に複雑であり、測定しにくいので、

それを研究するということは医学的な研究より

さらに高度な知識が必要となるのです。


また本当の意味でのプロフェッショナルであるのならば、

自分のいかにチームの成果に貢献しているかを

実際の数字を用いて示さなければ、

大学院を出ても給料も役職も絶対に変わりません。


看護の研究は方法自体が非常に果てしなく、

その海に飲み込まれてしまうこともあります。


ただ、しっかりと研究という概念を理解することは

現在の根拠をCRITIQUE(批判的吟味)して、

実際の臨床に生かしていくためには必須の思考なのです。


細かい箇所にとらわれずに、研究という海全体を

ざっくりと捉えて、その上で細かい箇所に

潜って行くという方法が効率的だと思います。


日本語では、

バーンズ&グローブの「看護研究入門」

しか研究の海全体を見渡せる本はないです。


ほとんどの大学院で採用されている本で

聖路加では「あの赤い本」で通じていました。


看護研究の意味や文献の批判的吟味の仕方から

量や質の各方法の概要まで網羅されています。


むしろ、これを読まない看護系大学院生はいないと思いますが。

とりあえず研究に関する本を1冊いう方にオススメです。



ただ、やはり個人的には世界的レベルでは

Dr.Polit の Nursing Research がBest of best です。


研究に関する英語の表現も勉強になります。

博士や研究者志望の方は必読だと思います。

すべてにおいて最先端です。



この日本語版が

尊敬してやまない近藤先生監修で出ていますが、

この訳されている7版の構成自体が非常に良くなく、

日本語は良いのですが、原著が良くないので、

あまりオススメできないです。


看護研究 第2版―原理と方法

看護研究 第2版―原理と方法


質的な研究については後日書きますが、

質的な研究方法の中にもいろいろあり、

最近ではそれぞれの方法で考え方が異なるので、

もやは「質的研究」ではくくれなくなっています。


看護における質的研究の全体を眺めたいのなら

野口先生の「ナースのための質的研究入門」

が偏りがなく、最もまとまっています。



さらに質的研究を専攻とする上級者には

看護以外の質的研究も包括する「質的研究入門」

がマジでオススメです。

まったく入門編ではなく、

やや難しいですが、質的研究がそれぞれの方法ごとに

いかに理論前提が異なるかが理解できる名著です。


特に最近新しくなり、解説が増えて読みやすくなりました。



さらに超上級者には

なぜ看護において質的研究が重要となり、

その主な研究方法となったのかを

歴史的観点から考察した超名著である

野島良子の「看護科学のパラダイム転換」

をぜひ精読してほしいと思います。


看護という人間を包括的に捉える営みと

質的研究という測定できないものに価値を置く研究法が

いかに出会い、融合したのかが記述されています。


質的研究の到来から看護におけるパラダイム展開を俯瞰し、

さらに看護の本質を浮き上がらせる名著中の名著です。



大学院では研究やケアの前提となる

「記述」や「問題解決」のビジネス基本能力を強化して、

看護の研究全体をざっくりと把握する戦略をとると

看護全体に対する理解がclearになると思います。


長くなりましたの、また区切ります。


次世代の看護へ!

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