NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

救急看護

NURSE on ER


最近、看護学生を対象とした

国際看護に関する特別授業に行くと

「研究者ですが、同じ看護師です。」

と自己紹介すると

「えー、マジでありえないー。」

という熱いリアクションが返ってきます。


確かに年々

世間の看護師像からはかけ離れて行っていますが。


しかし、その後で

「臨床の専門は救急ですよ。」と言うと

「やっぱり。そんなかんじー。」と返ってきます。


” ER = Emergency Room = 救急外来 "


いったい救急の看護師は何をしているのか、

お世話になっていた現場での写真を使いながら、

解説していきたいと思います。


少しでも「救急」に興味がある学生や看護師に

具体的なイメージを提供できればと思いまして。


1) 白衣


日本独自の文化ですが、なぜか看護師は

動きづらくて汚れが目立ちやすい「白衣」を来てますよね。


救急では出血や緊急手術、心臓マッサージなどが多いので、

手術着に似た「スクラブ」を着ることが一般的です。


動きやすいし、カラフルだし、

見た目もクールで非常にオススメです。


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個人的には、靴は医療用クロックスを履いていました。

走れるし、穴空きで蒸れないし、

血液も中に入ってこないので重宝しています。


アメリカでもアフリカでも

ナースはみんな医療用クロックスを履いています。



また救急3種の神器も必須です。

・三色ペン & メモ

・ステート(聴診器)

・ライト(瞳孔確認用)


2) 準備


救急は救急車が来てからが本番だと思いますが、

実は救急車が来る前の「準備が8割」だと考えています。


特に医療器具を非常に多く使うので、

いつでも出せる状態にすることと

どこにあるか把握することが一番大切です。


日々整理整頓と確認を怠りません。

地味な作業ですが、「整理整頓」は

公衆衛生的に非常に強いエビデンスがあり、

整地整頓が出来ているERでは救命率が上がります。


救命のための整理整頓です。

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また救急車が来る前の思考シュミレーションが

最も大切であり、本質であります。


「腹痛で来た高齢者が腹部大動脈瘤破裂で

 ショックになったらどの優先順位で展開するか?」


「見た目は元気そうであるが、

 発生状況から採血と同時にVガスをとって、

 アシドーシスがないことを確認して、

 ゆっくりケアしていこう。」


なので、

実は頭も物品も救急車が来る前が勝負です。


3) 手技と仮説


いざ救急車が来ると

まずは救急隊からの申し送りを聞きながら、

10秒でバイタルサインズをとります。


モニターが一番大切です。

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同時にルート確保と採血もします。

これもバイタル後に10秒で行います。

ショックや心停止でもすぐにルートがとれる手技は

経験と振り返りのたまものです。

(これは撮影用です。ちゃんと手袋をしています。)

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その他12誘導も10秒で張って解読して、

必要なら自分の判断で血ガス(V or A)もとります。

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12誘導と血液ガスが瞬時に読める能力が不可欠です。

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もちろん、体は採血や心電図などの検査をしていますが、

患者さんとコミュケーションして、

・どういう状況で発生したのか

・いま何が問題なのか

・既往歴や内服状況はどうか

・タバコや生活などのリスクファクター

などを聞いて、

臨床診断仮説(疾患は何か)を立てて、

医師と相談して検査を追加していきます。


1秒でも早くCTなどの画像検査に行く事を考えながら、

そのなかで診断に重要な情報を

ひとつでも多く得ることが、

救急の看護の第一義的な役割だと考えています。


「笑顔とやさしや」より

「絶対的な知識と技術」が救命率を向上させます。


頭部疾患の場合、

1分でも頭部CT撮影が遅くなると

救命率が段階的に落ちて行くエビデンス

アメリカでは良く知られています。


3) 検査


今度はCTなどの検査に

バイタルや所見を確認しながら付いて行きます。


その場で撮影した画像を見て、

重要疾患であれば、すぐ医師にコンサルして、

自分の判断で降圧薬で血圧を下げに行ったり、

鎮静や鎮痛を行ったりして即座に管理します。


医師の指示があるまで、

薬を行かないのはナンセンスだと思います。


患者の状態を良くするためには

1秒でも早く管理して行く必要があり、

またそれが救命率を上げて行きます。


ただ、それには

医師との日々コミュニケーションと信頼が基盤にあり、

ガイドラインプロトコールなどの論文ベースの

徹底的な勉強が必要です。


医学的な知識がどこよりも求められる現場が

救急看護の現場だと思います。


4) 診断と治療


最後に身体所見と検査結果を吟味して、

医師と一緒に診断や問題点を挙げて議論していきます。


検査値や画像を読む能力が必要です。


特に心電図は所見と合わせて何度も確認します。

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またXP、CTやMRIなども読み込みこんでいきます。

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ただし、検査結果に引きずられないように

神経所見をとったり、腹部を打診したり、

さまざまなところを聴診したりして、

医師と同様に「身体所見」をとります。


よく医師やNPともベイツを片手に

貴重な症例の身体所見をとりに行ったものです。

ベイツ診察法

ベイツ診察法


悩んだら、自分で看護的な視点から

エコーもあてて評価していきます。

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医師は診断メインなので、自分は看護師として、

症状マネジメントや全身状態の把握、

仕事や家庭に関する問題の列挙などを行い、

医師と対等に恊働して、

診断や今後の展開を決定してきます。


身体的な状況を医師と同じレベルで捉え、

さらに精神的な状態や社会的な問題まで

包括的なアセスメントして、議論していきます。


お互いプロフェッショナルとして信頼し、

違う視点から同じ症例を議論できるので、

非常に興味深く、患者さんに良いケアを

提供することが可能となるのです。


仮説の議論が大切です。

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5) 救急看護


ざっくりですが、

救急看護の実際を書いてみました。


詳しい救急看護の概念は今後書いて行きます。


救急は医学的な側面が多く、

非常に多くの医学的な知識が必要です。


ただ医学的な知識が9割となる救急の場においてこそ、

全身管理をしたり、精神的な支援をしたり、

仕事や家族の再構築を促す包括的なケアという

残り1割の看護の視点が際立ってくるのだと考えています。


非常に過酷な場で冷静に思考して、

救急における看護を表現して、

「命を救う」という原点に参加できることは

個人的には非常に興味深いです。


ただし「絶対的な知識と技術」が先決です。


ぜひ興味がある方は救急看護に飛び込んでみて下さい。

本当に大変ですが、実りある期間になると思います。


世界どこでも救急の看護師が

さばさばしてて、きさくで細かいところを気にしない

人間関係が楽なのが良いです。


やっぱりチームワークです。

スーパーエイドさんにマジでRESPECT!!

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救急では麺類は禁止です。

たまには寿司でリフレッシュも。

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今後は救急看護の人材を教育することが

自分の役割かなと思っています。

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救急看護バンザイ!!

今後に指導者として現場に行きますか。


何かあれば気楽に聞いて下さい。


さまざまなプロジェクト準備中です。

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