NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

クーリング

ある病棟で2人の看護師が、ラウンド中に、
「やばい、この人ネッパツしている。」
「どうする冷やす?」
「そうだね。お願い氷持ってきて。」


2時間後、
「良かった。熱下がった。」
「やっぱ。クーリングしてよかったね。」


って、そのクーリング本当に Evidence ありますか?
もういいかげん、クーリングやめませんか?


まず、人間は通常時でもかなりの体温変動があります。
また、個人でも平熱にはかなりのバラツキがあります。


なので、腋下の体温の数字ひとつで、
「発熱」と決めてしまうので間違えなのです。


しかも、Critical Care Medicine の診療ガイドラインでは、
「 38.3度を超える体温が発熱であり、感染検索が必要である。」
と定義されています。


つまり、発熱(看護師のいう「熱発」)では、
1、発熱は一過性に生じる可能性があり、経過観察すること
2、体温だけでなく、他の身体所見にも注目すること
3、38.3度が持続する場合に初めて何かの介入をする
という戦略が立てられます。


例外的なものとして、
・中枢神経に障害があり、自発的に体温調整ができないもの
・高齢者のように、発熱としてなかなか現れないもの
がありますが、体温に数値にふりまわされずに、
脱水の所見やHRなど総合的に発熱と判断する必要があるのです。


特に、37度超えたからクーリングはもうやめましょう。


クーリングを否定する機序としては、
背中や腋下に氷枕をあてたとして、
「本当に深部体温が下がりますか?」
ということです。


背中や腋下を冷やすと、
表面の体温だけが下がり、
従って、
腋下の体温の数値はさがり、
一見、解熱したようにみえるのです。


クーリングの否定としては、
クーリングをすることで、実は
表面体温が下がったことで、
脳が体温を維持しようと、さらに体温をあげる命令を出す
従って、
深部体温がさらに上昇し、
体の炎症状態が亢進し、
身体ストレスが増し、
さらにCriticalな状況へ移行するという
あり得ない状況を引き起こします。


また、クーリングしすぎて、
正当な発熱の評価ができないことも
弊害としてあげられます。


個人的な経験として、
クーリングすると、
腋下の数値上は低下が認められましたが、
膀胱温では、その後に体温上昇があることが
多かったです。


正式な研究はなく、
誰か RCT で証明してほしいと考えています。


たぶん、Sepsisではクーリングすると死亡率が
有為に上昇するのではと予測しています。


ちなみに海外の看護にはクーリングという概念が
ほとんどないです。


毎回、氷まくらをかえるのも大変だし、
看護師のみなさん、
そろそろクーリングやめませんか?