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NEW NURSING

世界で活躍する疫学者が日本の医療について議論する記事です。

NEXT Health Care

次世代の医療へ

放射能危機(原発事故)と看護

先日、アメリカから来た放射線災害対策チームと

いろいろな情報交換をする機械がありました。


アメリカではテロ対策として、

放射線危機が強く危惧されており、

迅速に対応するチームが複数あるそうです。


会食のあとのショット


f:id:yuito33:20110427223102j:image


YUITOは中東帰りで真っ黒です。

世界どこでも日本人とは言われません。(失笑)


チームの構成メンバーは以下の3人でした。

右:ベッカー博士 放射線のリスクコミュニケーションの専門家

中:カラム博士  IAEAのコンサルで放射線教育の専門家

左:ケイト博士  NY市の保健所医師で放射線医療の専門家


こんな迅速に対応できるチームがあるなんて

マジでビックリで災害へのアメリカの危機感が伺えます。


YUITOも同じPublic Health Researcherということで

「同業者」のくくりで様々な話が聞けました。


YUITOが学んだのは以下の3つです。


1 ) 放射能汚染された患者をケアしても被ばくしない


カラム博士がしきりに、

「YUITO、お前はERナースだからわかるだろうけど、

 放射能にひどく汚染された患者を洗浄しないで

 応急処置しても全然被ばくしないんだよ。」

「だから、緊急の場合は患者の放射線洗浄よりも

 救命を急ぐべきだ。今までの歴史で医療者が

 患者から被ばくしたことは一度もない。」

と有り余るくらいの論文(Evidence)をもって

説明してくれました。


「マジかよ!!」と目からウロコが落ちました。

・重傷→救命優先で洗浄しなくてよい

・軽症→時間があれば洗浄してから診察

が原則だそうです。


2 ) 福島の放射線危機(原発事故)による人体の影響はほとんどない


ケイト博士は

「要するにいろいろ考えても、

 この事故では人体に影響は出ないという結論に達するわ。

 長期で追跡してみなさい。

 それが証明されるし、証明がYUITOの役割でしょ。?」

と明確な答えを示してくれました。


さすがですね。結論→根拠の展開はわかりやすい!

土壌の汚染は心配だが、このくらいの放射線では

人体への影響はほとんどないと結論つけてました。


YUITOの計算でも(疫学が専門なので)

懸念される放射線バラマキによるがんの発生率の上昇では、

それは福島の原発の影響より個人の生活習慣の方がよっぽど大きい

ので無視できるという結論が出ました。


根拠をもって結論を明確に言い切るのは非常に大事ですね。


3 ) 災害時で最も大事なのはコミュニケーション


きました Risk communication profession です!

会いたかった!!


前にも書きましたが、Health communicationといって、

市民と健康に関する情報をどう共有するのかという

専門職でほとんどが看護師です。


日本ではまったく確立されていない看護分野ですね。


災害時は市民とのコミュニケーションで

最悪な事態にもなり、

冷静な対応にもなるとのことで、

まずは災害時には何より

「被災者とのコニュニケーション」が

最もよいアウトカムを生むという話をしました。


災害時には政府からの情報はほとんど正確でなく、

被災者もほとんど信用しないみたいです。


で、もっとも信用するのが医療者からの情報

なのだそうです。


つまり災害時には看護師が地域で医療の情報および

災害の情報について市民とコミュニケーションすることによって

被災者は情報を得て安心して、冷静に行動するのだそうです。


これは鳥肌ものの発見ですよね。

その研究を参考にベッカー博士も

放射線災害時のコミュニケーションをアルゴリズムにして、

イギリスの災害看護の教科書に載せているそうです。


しかも、それを作ったのはJCOの放射線事故を

現地でみて考えたそうです。


災害看護は医療だけでなく

災害時の地域全体にeffectして、

コミュニティー全体をリードして行くという

非常に幅の広い領域なんですね。


災害や事故の場合は、対象は慌てているので、

相手に10歳でもわかる言葉は話を用いて伝えると

一番効果的だそうです。


本当に勉強になる会食でした。

マジで3人にリスペクトです!!